2009年04月06日

ロンドン日記090404

4月4日
 もうすぐホテルを出ます。
 今日は7時半に起きて、出発前に昨日の記録作りを終わらせるべく奮闘。やっと終わり。
 6日間、ずっとメニューが変わらなかった朝食も終わりました。バスタブがなくて、壁につくりつけのシャワー(カーテンが水圧でバタバタあおられ、バスルームは毎日水浸しでした)もさよなら。テレビはつかないし、館内電話もついてないし、いろんなホテルがあるもんだと勉強になりました。(ロンドンではこれがふつうなのかと思いましたが、旅なれた方たちによれば珍しいようです)
 帰りの飛行機は私を含め4人の参加者が一緒なので心強いです。果たして映画のメニューは行きの便と変わっているのでしょうか。「マンマ・ミーア!」の3回目は見たくない。

 10:30にホテルロビーで同じ便で帰る人たちと待ち合わせ、駅へ。男性陣に荷物のヘルプをしていただいて空港までの電車乗り換えもクリアしましたが、例によって時間ギリギリ。おみやげも軽食も買う時間がなく、今は空腹を抱えて機内です。席は非常口の横で、当然、緊急時のお手伝いをするところ。チェックインカウンターのお姉さんは私で役に立つと思ったのでしょうか。離陸前に客室乗務員さんが来て、例の「安全のしおり」なるものを手渡され、「のちほど質問させていただきますので、よくお読みください」とのこと。非常口の開け方など、テストされました。繰り返しますが、私で役に立つんでしょうか?方向音痴なんですけど。
 行きの便は赤ちゃんたちの泣き声に悩まされましたが、帰りは近い席に幼児は1人だけ。カップルで子連れのようです。私の隣席は体の大きいイギリス人(たぶん)で、その夫婦と子育て話で盛り上がっていました。席の周りは日本人のあまり知的な感じではない若者が多く・・・。耳障りな日本語が飛び交っています。この方々は離陸するとゲームのたぐいに熱中され、お静かになられましたが、一人だけの幼子は大変パワフルに泣き、叫び・・・今回も眠ることはかなわないようです。
 1回目の機内食、「チキンかつ丼」なるものを選びましたが、その名前からは想像できない未知の食品と出会うことができました。あれは一体、何者?
 2回目の機内食は選択の余地がない「朝食」という名のトレイ。確かに日本では朝食の時間なのでとにかく食べたら成田に到着。4月5日の朝です。
 荷物を引き取ったところで、同じ飛行機だった4人が顔をそろえました。東京在住の方、北海道へ帰る方、そして九州の私。このツアーがご縁でお会いしたメンバーで、また集まろうねと話してお別れしました。
 帰宅すると山のような郵便物とメールと、大学生になったプレッシャーと戦いつつ臨時主婦代行をつとめ、やせ細った長女と、腰痛のため運動できないので肥え太った次女が迎えてくれました。また「日常」が始まります。このツアーのことをどうとらえたらいいのか、以前として整理がつきません。いつかそのうち、「あ、あれか」とヒラメく瞬間があるのだろうと思います。そのときのために記録だけは整理して、とっておきたいと思います。  


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2009年04月06日

ロンドン日記090403

4月3日
 いよいよ最終日。
 公式スケジュールがもっともキビシイ日。
 朝8時にホテルを出て、地下鉄・電車を乗り換えて移動。8:40に中学校の前の駅でコーディネーターと待ち合わせるという・・・。
 この学校では、Year7(11、2歳)を対象に地理や歴史、シチズンシップなどいくつかの教科をミックスした授業をCPで実施していました。民族が多様で社会的インフラがあまり整備されていない地域性にあって、自分たちのコミュニティに関することを学び、感じたことを詩で表現し、ラップで歌う、という授業。そのあと子どもたちの話し合いから「クリエイティビティとは?」というキーワードで考えをまとめていき、ビジュアルアートなどさまざまなジャンルのアート的表現にまとめていっています。まだ継続中で7月に行われるカーニバルではパレードに参加して学んだことを地域の方々に披露するとか。
 英国にきてこれまでの視察では、とにかく具体的な話を断片的にたくさん聞かされ、全体像がわからない、という経験をして、ツアー参加者一同困っていたのですが、招へい元に伝わったのか、最終日になって初めて、現場をみる前にレクチャーがありました。プログラムの担当者は日本の学校で英語の先生をしたこともあるというローラさん。さすがに聞き取りやすい英語です。若干の資料も見せながら説明してくれたので、これまでに比べれば格段に理解しやすいのですが、たとえば対象学年が8クラスあってプログラムの一部はその中の2クラスにしか実施されていないのに「2クラス対象に実施した」という話は早い段階で出てきても「学年は8クラス」という情報は尋ねないと教えてもらえない。日本人の感覚でいう「概要」の説明があまり上手ではないのかな?
 おそらくはレクチャーの予定時間をオーバーしていたのでしょう。少しだけ見せてもらった授業は、これまでにまとめてきた「クリエイティビティとは?」というイメージの表現を、7月に参加するパレードのプラカードとして製作しているところでした。日本でいえば小学6年生くらいに該当する子どもたち、外国人の出現に、ここでも男子はサルのようにはしゃぎ、よくわからない英語で「ソイヤ?」と話しかけてきます。意味不明なので「ソイヤ、ソイヤ」と答えたらなぜか大ウケ。なんども「ソイヤ、プリーズ!」とリクエストされてイントネーションの違う「ソイヤ、ソイヤ」を繰り返して交流?してきました。
 学校の視察のあとは、招へい元の1つであるA NEW DIRECTIONの事務所でのプレゼンテーションを聞くために移動。児童会館のような施設のなかにあるオフィスの狭い会議室で、パワポを使ってのプレゼン。ここでも紙の資料は配付されず、英語が堪能なツアー参加者が「そのパワポのデータをメールで送ってください」と交渉してくれたら簡単にOK。出してもかまわない情報なら、用意してくれればいいのに。
 ここでの話の最後に、なぜ私たちを招いたのか、という説明がありました。数年前から招へい元の方たちが日本で仕事をする機会が何度かあり、日本でも自分たちと同様の活動が行われていることを知った、日本ではNPOなどが小規模ながら独自に活動をしていて政府の政策としては整備されていない状況で、国策として取り組む英国と逆の状況だとわかった、正反対のやり方で同じ山に登るわれわれの交流が何かを生み出すのではないか。そんなお話でした。まさに。ただ、何が生まれるのかは、これまでの経験を咀嚼してこれから考えなくては。
 午後のゴールドスミスカレッジに向けて移動。例によって昼食時間はなく、カレッジのそばで各自サンドイッチなどを購入し道ばたで食べる。英国側の人たちはみんないい人ばかりなのに、ツアーのアレンジとしては最悪なのはなぜだろう、と参加者一同あきらめ顔で話し合いました。
 少し遅れてゴールドスミスカレッジ。私たちの到着を待って、月曜日に始まったワークショップづくりのプログラムの発表。学生のグループは、このワークショップを想定している場所で本当に実施することになったので、この1週間はパニックになりながらがんばったようです。まだまだ荒削りながら、それぞれに興味深く、社会のさまざまな層の人たちを対象にアートのワークショップでアプローチすることの奥深さを感じました。
 日本人組も、時間がないなか、移動の電車の中などで話し合ったワークショップを発表。特にKさんががんばってくれた、(お経のような)ご真言を使って呼吸を感じるワークショップは、評価が高かったようです。1週間にわたるかなり大変なカリキュラムの最後に、全員で1つになる感覚を味わえた、とクリシー先生にお言葉をいただきました。
 全部で5組の発表が終わると、クリシー先生が用意してくれたパーティ。ちょうどイースターシーズンなので、それらしいお菓子やケーキ、ワインなどでそれぞれに歓談。終わったあとは有志で大学の近くのパブに流れていきました。私は疲れて英語も聞き取れなくなってきたので途中で帰るKさんにくっつき、退出。それでも9時ごろでしたから、ほかの人たちはかなり遅くなったでしょう。
 疲労の極地だけど、ハードワークだったこの日1日の記録を早くつくっておかないと・・・という強迫観念にかられてキーボードに向かうものの、ときどき意識が遠くなり、ミスタッチを繰り返し、いつもは2時間程度で1日の記録ができるのに、この日は2時間で3分の2くらい。もう限界と、そこでやめてシャワーを浴びて寝ました。1時就寝。  


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2009年04月06日

ロンドン日記090402

4月2日
 昨日、Hさんが地下鉄の中でダウン。直接の原因はお酒を飲み過ぎたからかもしれませんが、お疲れなのでしょう。2日目から具合が悪いNさんもまだ本調子ではなさそう。皆、疲れがたまっています。昨日は夕方4時過ぎからフリータイムになったので、遊びに行ったり買い物にいったりする人もいましたが、私はホテルに帰ってその日1日の記録作り。8時からのコウタさんとのお食事会に参加する前に終わらせないと、仕事がたまって疲れも倍増すると思ったので。
 頭の中は、今回のツアーをどう総括するかと、金曜日に発表するワークショップ案をどうつくるかと、「なんでここはこうなの?」という違和感とがグルグル回ってまとまりません。

 本日の公式メニューは、オックスフォードの劇場でグレイアイシアターの「Whiter than snow」を観劇すること。障がいのあるメンバーたちが、その障害がいを個性として魅力ある舞台芸術作品をつくり出しているカンパニーです。
 オックスフォードまで行く電車のなかでは、明日のゴールドスミスでの発表に備えて「ひきこもり班」の打ち合わせ。ほぼまとまりましたが、実際に行うミニワークショップの練習が電車のなかではちょっと・・・。ファシリテーターをしてくださるKさんが部分的に見せてくれるポーズや呼吸法に、電車内からつまみ出されるのではないかと心配しながら大受け。英語が堪能なKさんに説明もワークショップもお願いしてしまうのですが、時間がないので仕方ありません。
 オックスフォードでは、劇場に向かう前にオックスフォード大学を少しだけ見学。由緒ある建物やあらゆる文献の初版本を収めているという図書館、教会などを見て、おみやげもここで購入。
 大学で時間を使いすぎたのか、マーケットでの昼食は例によって時間が15分。寒いので温かいパニーニとホットチョコレートを買って歩きながら、そしてタクシーの中でもかじりました。昨日も一昨日も、かき込むような昼食と大急ぎの移動。ここは優雅にアフタヌーンティーなんかをたしなむ国ではなかったのか? ホテルの朝食メニューは毎日まったく変化がなく、気の抜けたような味付けなので、ツアーメンバーにも大不評。食べることに執着のない私は、メニューや味付けにはこだわらないのですが、食べる時間は確保したいんですけどねぇ。
 タクシーに酔いながら到着したのは、ノースウオールアートセンターの劇場。住宅街のなかに突然、劇場があるんですね。作品は「白雪姫」の話を下敷きにしながら、「ふつう」であることって何だろう、「違う」ことはなぜいけないのか、を考えさせる内容。身長が伸びない障がいのある役者さんたちのプロフェッショナルな演技としゃれた舞台装置の使い方、全体としてこなれた感じのステージがすてきでした。
 休憩時間に入ったところで、Uさんがカメラを座席の下に落としてしまい、一騒動。床から高くあがった座席なので、落ちたカメラに手が届きません。終演後、劇場の方が駅のホームから線路の落とし物を拾うときに使うような道具でつり上げてくださり、一件落着。
 劇場の近くのお店で演出のジェニー・シーレイさんが来るのを待つ、という話でしたが、ジェニーさんは現れず。出演していた役者さんたちが飲んでおられたので歓談。
 夜は、Kさんのお友だちの舞台を見に郊外の劇場へ。ここも住宅街のなかにあり、日頃はどんな活動をしているのだろうと思いつつ、なかに入りました。パントマイムを中心とした舞台で、エジンバラ・フェスティバルで賞を取った作品とのこと。確かに観客は大受け。言葉を使わないので外国のお客さんにもわかるし、達者な役者さんたちに楽しませてもらいました。
 時間は遅かったのですが、夕食がまだなので劇場近くの中華レストランへ。ツアーメンバー全員が待望の中華。満足感が違うね~と至福の表情になりました。
 ロンドンに芸術関係の視察に来て、芸術作品を何も見ずに帰るのか!と思っていましたが、やっと2本、作品らしい作品を見ました。昨日のテイト・モダンは事業内容のプレゼンは聞いたものの、ギャラリーの中を見る時間はまったくないという不思議なスケジュール。今回の視察は、日本人でなければとてもこなせない過密な内容です。果たして、そこから何を持ち帰ってほしかったんだろう。  


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2009年04月06日

ロンドン日記090401

 4月1日。
 G20開催の影響で「プロテスト」といわれる大規模なデモがあると聞いていました。宿泊したロンドン・リバプール駅の周辺に金融機関の本店が集まった地域があり、そこを目指しての集会が行われるので、人があふれて歩けない状態になるかも、と予約したレストランで言われ、すごく楽しみに(?)していたんですが、空振り。デモはどこにいったんでしょう? 警察がたくさんまちに出ていて、交通規制をしていたようだったから、道路が封鎖された、ということかな?

 朝食時、金曜日のゴールドスミスでの発表にそなえ、「ひきこもり」班でワークショップのイメージを話し合いました。その過程で、障がい者との活動をするOさんが「期間を決めて達成目標を設定するやり方は違和感がある」といわれました。障がい者との活動では、その日1日にやることのメニューは決めても、何ができるようにならないといけない、といった目標は定めない、と。日頃、私が活動している学校では、目標設定と到達度の測定はある意味、必須のこととされています。アートに関わる活動では、それはとても窮屈で、矛盾しているなと思うことがしばしばです。でも、そうでないと受け入れてもらえないので仕方ない・・・そう思っていましたが、Oさんは「むしろ障がいのある人たちのほうが人として素直なあり方で、世の中を彼らにあわせたほうがいいと思う」と言われたのにははっとしました。ただ、達成感が成長を促す面もあるので、目標設定が一概に悪いわけではありません。ひきこもりの人を対象としたアートワークショップの目標設定、それはどのあたりになるんでしょう? 社会でバリバリ働くこと? とりあえず家族に「おはよう」が言えること? 他人が同じ部屋にいても気持ち悪くない程度に心を開けること? 人それぞれのはずですね。

 今日の視察メニューは、午前:テイト・モダンの若者向けプロジェクトのレクチャー 午後:クリエイティブ・パートナーシップのプロジェクトである、中学校での演劇を活用した理科の授業の見学。
 中学校での授業は、理科離れの原因になりそうな化学記号などの学習を芝居仕立てで行うもの。病原菌が封じ込められた岩石が学校の敷地内でみつかり、この菌の感染者が広がらないよう、ワクチンをつくらなくてはならない、というミッションを背負った子どもたちが、菌のばらまきをたくらむエコテロリストと戦いながら、学校の各所にかくされた謎を発見し、ワクチンをつくって人類を救う・・・といったストーリー。謎解きをしながら学習を進めるので、楽しみながら勉強できます。ただ、このプロジェクトは5日間で終了なので、その後、学校の先生たちが従来どおりの授業をしたのでは、子どもたちの高まった興味関心も元通りでしょう。このプロジェクトの目的は、先生たちに新しい授業のあり方を考える契機とすること。生徒ではなく先生・学校を変えようというプロジェクトなのでした。
 今日は、最後の授業でグループごとに現在の状況説明と解明したワクチンの謎をお芝居の形でプレゼンする授業でした。私たちは見学のはずでしたが、アーティストたちが「国際医療機関の査察官」という役柄をつくってくれたので、一段高い審査員席に座って「審査」をする役を演じることになりました。学校に来たお客さんまで取り込んでしまう、こんな授業がいつも行われていたら、そりゃー子どもたちも変わるでしょう。担任の先生が、しばらく学校を離れていて昨日、子どもたちと対面したら授業態度が全然違うので驚いた、と言われていました。
 ただ、気になったのは、発表する子どもたちの態度が、必ずしもこの授業を楽しんでいるように見えなかったこと。英国では小学校から「ドラマ」の授業があるので、この子たちも演劇的手法には慣れているはずなのに、とてもそうは見えなかったのです。これなら日本の中学1年生と一緒。日頃のドラマの授業はどんなことをしているのだろうと気になりました。

 夜、ゴールドスミスの日本からの留学生で、即興演奏を専門とするコウタさんと有志でお食事会。コウタさんは日本で修士をとった後に1年の予定で英国に留学されています。この業界、ほんとに高学歴。
 視察ツアーも後半に入り、このツアーから何を持ち帰ればよいのか、考えるようになりました。私にとって今回のツアーで初めて知ることはほとんどありません。でも、知識・情報として知っていたことの現場を体験することができました。ただ、それだけでは不十分でしょう。まったく違う社会的文脈のなかにある日本で、英国が実現したものの後追いは無意味。何を学び取ってどう生かすことができるのか、それを考え始めると気持ちが沈んでいくのをどうすることもできません。テンションが落ちてしまうのは、お招きくださった機関には申し訳ないのですが、準備期間がなさすぎたのか「話が違う」状況がいくつかあったりすることも一因。もっと語学力があれば・・・と自分の非力さに腹が立つこともあります。
 プログラムはあと2日。ご一緒している日本の仲間から吸収できることもどん欲に吸い取っておかねば。  


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2009年04月06日

ロンドン日記090331

3月31日。
 今日は午前、午後と、クリエイティブ・パートナーシップ(CP。アーティストなどクリエイティブな専門家を学校の授業に派遣する国の政策によるプログラム)を実施している学校の見学。
 午前のフォレストヒル・セカンダリースクールはパフォーミングアーツのスペシャリスト養成校という、それだけでも特殊な学校。音楽、ドラマ(演劇)、ダンス、ビジュアル・アートの4分野についてアーティストを教員として雇用しているし、完成して1年半の新しい校舎は、劇場やミュージックスタジオ、ダンススタジオなど見事な施設・設備が整う学校でした。これで公立校。もともと専門性が高いうえにCPを実施しており、ありえないくらいすごい学校です。CPでは、アーティストが教員に、よりクリエイティブな授業を行うための提案をすることと、7年生(11,12歳)の子どもたちと一緒に行うファンタジースクールというプロジェクトを実施していました。前者ではアートと各教科のコラボなどが実現しているそうです。後者は実際にやっているところを見学させてもらいましたが、これはまービックリ。学校をよりよいものにするための提案を子どもたちが行う、というのがテーマで、「学校内にラジオ局を開設」「コンサートを企画」「各生徒がカリキュラムを自分で選べるようにする」などの提案をパワーポイントにまとめ、PCを使いつつ、プレゼンしてました。そして、もっとも有効と思える提案を1つ選び、SWOT分析をするという高度な内容。そして、たとえば「生徒がカリキュラムを選ぶ」ようにするにはどんな先生を雇い、いくら給料を払えばよいのか、給料表まで作成してました。プロデューサーですね。
 こういう学校で育った子どもと、そうでない子の差は歴然とつくでしょう。英国内にこうした学校がたくさんできていくとしたら、現状の日本のままでは、あらゆる面の国力で太刀打ちできない・・・。でも、心配なのは、英国内でもこうした教育を受けられる子とそうでない子の格差が広がりはしないか、ということ。
 ところで、見学中、サイレンのようなものが鳴り、全員が校舎の外に出ていきました。よくわからないまま私たちも歩き出しましたが、これがなんと避難訓練。年に6回もやるそうです。生徒全員の名前を確認して教室に入り、授業再開。法律か何かで実施が決まっていることなんでしょうか。あまりクリエイティブではない時間でした。
 午後に見学したタワーブリッジの小学校は、私たちが日本で実施していることとかなり共通した感じでほっとしました。「惑星」をテーマにした授業のなかで、「火山」をトピックとし、演劇、音楽、ビジュアルアートなどを組みあわせた活動をしており、2日後には保護者に見てもらう発表会を行うとのこと。この日はこれまでやってきた発表する作品の断片を通して演じてみたところで、それはもうグダグダ。アーティストは悪戦苦闘をしていました。まあ、こんなこともあるさ。
 いずれの学校についても、現場をみる機会を提供してもらったのはありがたいのですが、学校自体のプロフィールや、その学校でのCPの概要に関する情報がないままの見学で、アーティストや教員に質問しながら全体像を明らかにするのはかなり大変。若干混乱しました。しかも言葉の壁もあるので、夕方から、各参加メンバーが聞き取ったことを共有する作業を行いました。そしてとっぷりと日は暮れて、すでに買い物にいくところも閉店している時間。最終日のワークショップの宿題も気になりながら、かなりハードな日々が続きます・・・。
 夕食のメニュー。昨日はバングラディシュのカレー。今日はタイ料理。エスニックな日々です。  


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2009年04月06日

ロンドン日記090330

3月30日(月)。
 眠くてたまらなかったのに2、3時間おきに目が覚めます。携帯にメールや電話がきて、そのバイブ音で目が覚めるという敏感さ。電話は受信した側が国際電話の料金を払うことになると聞いていたから、出ないでご本人にメールしたら「かけてないよ?」という返信。なんだったんだ、あれは?
 メールしたり、夕べ干した洗濯物の乾き具合を確かめて干す場所をかえたり、早朝からごそごそと活動。
 7時を過ぎて朝食を食べに降りていったら、YさんとNさんが先に食べてました。Nさんはすでにジョギングしてこられたとのこと。さすが、役者さん。あとでUさんも来て、同じカンパニーの役者同士での疑似恋愛の話で盛り上がりました。「そんな生々しいもの、お客さんに見せるものではないし、芝居が終わったあとは必ずうまくいかなくなる」そーよ、そーよ、と相づちを打ちながら「あ、私、うちの劇団の主宰者と結婚した」と言うと、「そういう場合もありますよねー」と風向きが急に変わって、すみません。
 また、Uさんが関わっている四国の商店街でのアートによる活性化事業についても伺いました。5年続けてきて、地元の方から「Uくんにこんなことやってもらおう」という提案が出てくるようになったとか。そこまでが大変な道のりだと思うので、感心しながら聞きました。よそ者にできるのは、地元の人に「自分たちがやらなきゃだめだ」と気づいてもらうことだけ。外から来た人が「何か」をしてくれる、と思われているうちはなにも変わらないでしょう。そして、こちらが一生懸命考えて提供したものが、地元の方の「何か」の感覚と違うものだと、関わった個人や「アートでまちづくり」のかけ声に対する非難で終わりかねないもの。何を求められているのかを引き出すことが仕事なんだね、というコーディネーター同士の共感話になりました。
 さて、公式スケジュールの初日である今日は、ゴールドスミスカレッジの授業への参加。ここでは、アーティストを対象に必ずしもアートの専門家ではない一般の人々を対象としたワークショップを行う専門的な人材養成が修士レベルで行われています。午前中は自己紹介やコミュニケーションワークショップなど。午後は、これまでにやったことのない分野でワークショップをつくるというプログラム。日本人クループは日本人だけで班をつくることになり、私は「ひきこもり」を対象とした班に入りましたが、ひきこもりの何が課題なのか、どうなることが望ましいと設定するのか、かなり難しい議論になりました。その結果、できたものは「ひきこもりの青年が自立支援施設につれてこられ、もちつきに参加するまで」を描いたごく短い演劇。ちなみにアチラの方々には「ひきこもり」という概念はないらしく、言葉自体の説明が必要でした。
 金曜日までに、ひきこもりの人を対象としたもっとワークショップのプログラムを考えないといけません。なのにグループメンバー4人が話し合う時間がとれません。昼間の予定はすべて詰まっているし、夜は個人的に用事を入れた人もいます。結局、朝食や昼食、移動時に話しあうことに。
 午前の休憩時間にスモモをくれて話しかけてきたトリニダード出身のペトリース。プロポーションとチョコレート色のお肌が美しい女性です。トリニダードにもたくさんのアーティストがいて、アート以外の現場で活動する人もけっこういると言います。ただし、彼女がロンドンで学んだあと、お国で仕事があるかというとそういうものではなく、自分で資金調達からしなくてはならないとか。いずこも同じです。
 授業終了後、特別な予定のない4人の日本人で一緒にホテル方面へ戻り、夕食を食べにいくことに。その前にパブで1杯といわれ、飲めない私もハーフパイントの黒ビールを注文しました。それから歩き回って、けっきょくバングラディシュのカレー屋さんに。辛くないものをいくつか選んで皆で食べました。おいしかった。
 そのテーブルでの話題。私たちがやっていることは、けっきょくおせっかいではないのかという話。別に変わる必要がないかもしれない人たちに「こうあるべき」と押しつけるものではないだろう、ということ。でも、アートでできることがいろいろあるのに、そのことが知られていない現状では、押しつけがましい点があろうともまずは知ってもらうことが重要では? こんなこともできる、と知ったうえで、それをしないのはOK。選択肢に入れてもらうことが先決です。
 今回のツアーは英国のシステムから学ぶことも多いと思いますが、同業者同士の意見交換がとても有効だと思えます。うれしい。  


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2009年04月06日

ロンドン日記090329

4月5日(日)、ロンドンから帰ってきました。買い物などする時間がほとんどない、昼食さえろくにとれないハードスケジュールの視察でした。ホントに毎日、ランチタイムは15分もあればいい方、午後の視察先へ歩きながら、あるいはタクシーのなかでベーグルなどをほおばる日々。どんなツアーだったのか、日記のようなものを書いていましたので、ほぼそのまま、1日分ずつ掲載します。
**************
3月29日(日)
 出発。
 国内線でさっそくやらかしました。スーツケースを預けたのに、成田で受け取るターンテーブルを通り過ぎ、ゲートの外に出てしまいました。1度出たら中に入れない・・・。スタッフの方を大声で呼び、引換証を渡してとってきてもらいました。すまそん。
 VA(バージンアトランティック航空)のカウンターでチェックインのため1時間待ち。列に並んでいる間に、ご一緒するYきさん、Oさん、Uさん、Mさんを見かけました。これで日本からの一行8人のうち、5人が判明。残り3人がわからない・・・。「ミステリーツアーですよ」とOさん。それでも同行者と会えてホッとしました。
 ロンドン行きの便の時間より2時間半前に成田に到着したのに、セキュリティチェックと出国審査を通ったら搭乗ゲートが閉まる時間ギリギリでした。
 12時間のフライトのうち、ただいま3時間が過ぎたところ。映画「マンマ・ミーア!」を見終わり。1回目の食事が出ました。機内は幼児と赤ちゃんがおにぎやか。子連れの海外旅行は大変。
・・・ただいま現地時間で29日午後3時くらい。日本時間では夜中の11時くらいか? 2度目の食事が終わりました。そのほか飲み物やお菓子が何度も配られます。少し眠りたいけど、赤ちゃんたちがにぎやかでとても無理。ハーフのあかちゃん、お母さんは日本人ですが、泣いてもあまりだっこしないようです。子どもに話しかける声がデカく高く、それもけっこうカンにさわります。ああ、しんど。肩・首・背中が痛いです。ヨコになりたい。
 「マンマ・ミーア」を日本語吹き替えでもう1度見て、「容疑者xの献身」も見ました。斜め2つ前の席の男性と作品のチョイスが全く一緒。飛行機のなかで少し勉強するつもりだったけど、予想通り、そんな気になれずに到着。
 留学経験のあるYさんにひっついてヒースローエクスプレスでパディントンまで行き、そこからタクシーでロンドン・リバプール駅の近くのホテルへ。チェックインしていたら、A NEW DIRECTIONのスティーブさんが来て、「じゃあ、10分後にここに集合ね」。集合時間の午後7時ぎりぎりに到着したのでした。地下鉄に乗っていたらまったく間に合わなかったでしょう。さすがYさん。
 お招きくださった機関のおもてなしで夕食会。タクシーで小さなレストランに行きました。日曜の夜にあいているお店は珍しいようです。私はお酒が飲めないのでお水で、お料理も正直おなかいっぱいでしんどかったのでフィッシャーマンズパイだけ頼みました。フィッシャーマンズパイはイギリスを代表する料理のようで、みんな頼んでいました。おいしかったけど、すでに胃が眠っている私には量が多すぎ。この夕食会で初めて、招かれたのが7人だったこと(残りの2人は演劇人でワークショップファシリテーターのNさんとKさん)が判明(後日、遅れてHさんが参加してやっぱり8人とわかりました)。そしてA NEW DIRECTIONのゾーイさん、ゴールドスミス大学のクリシーさん、グレイアイシアターのジェニーさんも合流。スティーブさんと席が近かったので、アーティストによる学校での活動の評価のお話などを伺いました。すごく重層的にきっちりと記録を残しているようです。後日、資料を見せていただくようお願いしました。自己紹介などしあって、夜11時前にホテルに帰還しました。
 バスタブのない、つくりつけのシャワーを四苦八苦しながら浴びて洗濯もして、やっと寝られます。日本で朝5時に起きて、翌朝の8時くらいに寝る感じ。しんどい。  


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