2011年04月08日

芸術文化のまちづくりゼミ

来週の授業の準備を午前中に済ませ、事業の打合せのため天神へ。ほんの2時間ちょっとの外出だから・・・と思っていたのですが、心配していたとおり、ちょうどその間に〇スクルに注文していた用紙が届いて入れ違いに。零細NPOなので留守番部隊がおらず、ご迷惑をおかけします。
週末にかけて映画上映会の詳細が固まる目途が立ったので、来週以降の広報&営業先へのアポとり攻勢。

一方で他の事業の準備も進めております。
「芸術文化のまちづくりゼミ」、開講します。
昨年までアートサポーターズネットワーク主催「連続講座 アートでつなぐ人とまち」を開催しておりましたが、これをアートサポートふくおかの主催事業とし、芸術文化のまちづくりに関する基礎的な情報を得ることとネットワークづくりを目的にリニューアルしました。
詳細はこちら↓
http://www.as-fuk.com/news/machidukuriseminar2011.html

文化行政担当者、文化施設スタッフの方はぜひ。学生、関心のある一般の方のご参加もお待ちしてます。  


Posted by アートサポートふくおか at 21:43Comments(0)アートと地域

2010年09月18日

枝光本町商店街アイアンシアター

朝から北九州へ。枝光本町商店街アイアンシアターのバックステージツアーに参加するためです。「えだみつ演劇フェスティバル2010」の一環なのでした。アイアンシアターは、福岡銀行の支店だった建物を演劇公演ができるよう簡単に改装、設備を整えた劇場。100席程度の設置が可能で、銀行の金庫室やATMの跡も残る独特の空間が広がる1Fと、アトリエ(小公演も可能)や宿泊しようと思えばできる?部屋もある2F、そして打ち上げでバーベキュー会場になるという屋上があります。
このあたりはその昔、八幡製鉄所(新日鉄)があり(今はスペースワールドが目の前)、往時は芝居小屋などもあってにぎやかな界隈だったそうですが、今は商店街もひっそりとした様子。この地域の活性化を願って住民、商店街経営者らが北九州の劇団と協力し、空きビルを劇場として再生させたのでした。
ツアーはまず、商店街めぐりから、というか、ほとんど商店街めぐりでしたが、行く先々で昔の写真を見せてくれたり地域の歴史を語ってくれたり、試食品が出てきたり。日ごろのお客さんよりずいぶん若い人たちがまちを歩いているのがうれしくて仕方がない様子でした。
劇場がオープンして1年半ほど。レジデントカンパニーになっている「のこされ劇場Ξ」の皆さんは、地域に入るために最初はゴミ拾いと挨拶から始めたそうです。劇団の公演をお知らせに回るより前に地域に顔見知りを増やしていったあり方が地元のおじちゃん、おばちゃんの好感を得たのでしょう。みんなにかわいがられている様子が伝わってきます。お芝居を見せるだけではない、地域とつながる演劇の可能性を感じる小劇場でした。
枝光本町商店街アイアンシアター公式サイト
http://otegarugekijou.org/irontheater/index.html  


Posted by アートサポートふくおか at 22:08Comments(0)アートと地域

2010年08月20日

迎賓館

昨日・今日と鹿児島~熊本。主な目的は鹿児島県鹿屋市の「やねだん」訪問。「行政に頼らない地域再生」で有名なあの「やねだん」。自主財源を蓄え、集落が必要とする公共サービスを自力で創りだしてしまうところです。集落のリーダー・町内会長の豊重哲郎氏に「お会いしたい」と連絡すると、他団体の研修に一部参加するようご指示をいただいたので、指定の日時に公民館へ・・・行くはずが、交通機関のトラブルで30分ほど遅れてしまいました。福岡から鹿児島中央まで特急&九州新幹線、そのあとバス⇒船⇒バスと乗り継いで、最後はタクシーしか交通機関がないところ。途中のバスが車両の不調で動かなくなるという珍しい経験をしました。
やねだんでは、山口県阿武町の自治会長さんたちの研修にちょこっと参加させていただきました。テレビで紹介されたやねだんの取り組みをビデオ鑑賞したあと、地域おこしに関する豊重会長の経験談をうかがい、「迎賓館」で活動中のアーティストの紹介などもありました。その後、「迎賓館」のアーティストのひとり・写真家のかわのさんによる記念撮影(1枚800円で販売)、土着菌センター、ギャラリーやねだん、「迎賓館」などの見学と続いて、全部で3時間ほど、やねだんの空気を吸ってきました。アーティストの作品の福袋、絵葉書など、販売品を充実させて、アーティストの生活が成り立つように工夫されていました。今日は午後からの研修だったので、私は「体験」していませんが、お昼には地元の食材で昼食を出されるハズ。名産品のいも焼酎や土着菌の販売もあり、すべて集落の財源になっていくのですね。
阿武町の方々は1泊の研修。途中からいつのまにか混じっている私をフツーに受け入れてくださり、記念写真の撮影もなぜか真ん中に座らせていただきました。集落を見て回るバスにもちゃっかり同乗。ホントにありがとうございました。夕方になり、宿泊所に向かう阿武町の方々にお礼とお別れを言うと、「おねえさん、ここまでなの?」「残念だなぁ」「おねえさん、アナウンサー? 美人だねぇ」。うひひ うひひ うひひ。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:17Comments(0)アートと地域

2010年07月31日

瀬戸内国際芸術祭③

ホテルは岡山にとっていたので、翌朝も岡山発。実は出発前の計画では2日目は直島に渡って女文楽を鑑賞し、そのまま直島を回るか、豊島に渡る、または小豆島? どっちにしようか・・・だったのですが、突如、啓示を受けて女木島(めぎしま)へ。ここは別名・鬼ヶ島。そう、ももたろさんの鬼ヶ島。鬼とは、海賊のことだったようです。島の洞窟に住みついた海賊が、時折、里や他の島に出没して食糧を略奪したり、若い娘を誘拐したりしていたのでは? おお、おそろしや。そして、この島には、直島福武美術館財団が運営する福武ハウスもあります。休校中の小学校校舎を活用したギャラリー。
まず、島に行くためにJRマリンライナーで岡山から高松に渡りました。高松駅についてビックリ。芸術祭に対するテンションが岡山側とは全く違いました。お祭りとしての盛り上げ方が盛大。これは島に渡っても同様に感じました。女木島の案内所にいた方に聞いてみると「岡山県で作品があるのは犬島と宇野港だけだし、岡山は秋に国民文化祭があるので、それどころじゃないのかも」とのご意見でした。ちなみに案内所におられる方々はボランティアの「小エビ隊」?と思ったら、そうでもないらしく「私は町に雇われた通訳です」という方や、たぶん役場の職員さん(にほひでわかる)もいるようです。みんなスタッフTシャツを着て、スタッフ証を首からブラ提げて。私もコームインだったころ、いくつかのイベントに「動員」されたので、そのときにもらったTシャツが今、ネマキになってます。
あ、それで女木島(鬼ヶ島)の洞窟。夏でも気温が15度程度という涼しく心地よいところですが、心地よいのは灯りが仕込んであるからで、真っ暗な洞窟内で監禁されていた里の娘は怖かったろう。この島は「鬼ヶ島」で売っているので、洞窟の中にも案内板がたくさんあるのですが、遊園地もどきの鬼の人形がいたるところにあるのはいただけませんでした。桃太郎のお話のイメージを壊さないようにという配慮でしょうか。実際はもっとエグイ場所だったはず。洞窟内にも芸術祭のために制作された作品があり、こちらのほうが洞窟の空気にマッチしていました。が、大勢来ていた家族連れには「キモイ」「コワイ」と不評の様子。
女木島からいったん高松に戻り、午後は大島へ。大島は島全体が国立のハンセン氏病療養所になっています。ここで「やさしい美術プロジェクト」が展開されているので行ってきました。今日は特にイベントがあるわけではないので、ハンセン氏病のこと、島のこと、プロジェクトの話を聞いたあと、納骨堂にお参りさせていただき、プロジェクトの一環であるカフェでお茶を飲み、もとは入所者の住まいであったところを活用したギャラリーや文化会館での折り紙みたいな作品づくりをしてきました。大島ではツアーに参加する形式になっており、ガイドはボランティアの小エビ隊の方。入所者の居住区域に迷い込まないよう、ご迷惑をおかけしないよう再三注意を受けました。イベントがあるときは、入所者のなかの「名人」さんによる講座が開かれるとか。隔離という不幸な歴史を背負った島と外部をつなぐのが、「やさしい美術プロジェクト」のようです。そのやり方はあくまで謙虚。島の方々の思いに寄りそう優しさを強く感じました。
1泊2日で島3つを巡るのは、少し強行軍だったかもしれません。時間の余裕があるなら涼しい季節にもう1度行きたいところです。難しいだろうけど。  


Posted by アートサポートふくおか at 23:17Comments(0)アートと地域

2010年07月31日

瀬戸内国際芸術祭②

で、犬島。公演までは3時間ほどあるので、芸術祭の作品である「家プロジェクト」などを見て回りました。もちろん、その前にパスポートを入手しないといけないわけで、犬島の案内所で引換券と換えられてひと安心。さて、島に点在する作品を見て歩きましたが、地図を見ながら歩いても、あまり分かりやすい状況ではなく、参加者同士で「こっちの道には作品がなかった」「あっちに〇番の作品があった」と情報交換してどうにか作品を発見。「家プロジェクト」は、空き家になった家をアートで再生するものですが、この島の作品たちは、家が生きていた頃の空気感がなく、形状は「家」だけど別の「作品」になっていたように感じました。別にいいとか悪いとかでなく。
犬島といえば、古くは江戸城、大坂城築城のために石を切り出したという石の島。そして1909年から10年間は銅の精練所が稼働していたことが大きな特徴です。近代化産業遺産にもなっている精錬所跡の煙突は島のいたるところから見えるシンボル。今はここがアートスポット(美術館)として活用されています。煙突によって空気を冷やしたり、逆に温めたりすることができるんだそうで、こうした煙突の作用を活かした建築物。レンガ造りで独特の精錬所と一体化していました。
「維新派」の公演「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」のセットは本物の空を借景にした丸太組みのもの。島が海によってさまざまな大陸や他の島につながっていることが意識できる場所にふさわしい作品。でもお尻は痛かったデス。
公演会場の手前には、アジア各国?の屋台が出て、開演前にはミニステージやパフォーマンスもあって雑多な感じがステキでした。「モンゴルパン」なるものを食したところ美味。でも途中で、具材から出た汁がダダもれ状態になり、バッグも服もダダ汚れ。以降、翌日までチリソース風の赤いものが付着したまま過ごしました・・・。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:50Comments(0)アートと地域

2010年07月31日

瀬戸内国際芸術祭①

30日から瀬戸内国際芸術祭2010へ。長期のイベントなので「いつ行こうかな?」と迷っているうちに終わるに違いないと、「維新派」の犬島公演に合わせて決行。大地の芸術祭のように便利なバスツアーなどなく(なんせ島ですから)、いつ、どの島に、どうやって行くか、すべての旅程を自分で組まなくてはいけない、とってもめんどくさい旅行でした。
出張や旅行にはいつもコロコロを引いて行くのですが、今回の「維新派」公演は野外劇場だし、島を歩きまわるには邪魔だろうとリュックを背負って出発。前日に日傘を失くしたので帽子を深くかぶり、長袖のシャツを着ていきました。岡山まで新幹線、そこから犬島までは「維新派公演ツアー」にあらかじめ申し込んでいたので貸し切りバス&船で移動。岡山駅からバスで宇野港まで行ったあと、船は何時に出るのか、どこで待つのか、案内が何もなく、とにかく同じバスだった人たちと一緒にいればだいじょぶだろうと目をつけたカップルにひっつきもっつきしていました。芸術祭の作品を見るのに必要なパスポートの前売り券(引換券)を購入していたのですが、ここまで本物のパスポートに引き換える場所がみつからず、宇野港待合所の前に出ていた芸術祭インフォメーションセンターの人に尋ねると「待合所の中のチケットとか売ってるとこで聞いてください」とのこと。アレは乗船券の販売所ですけど。チケットとか売ってるとこのおじさんに「ここで芸術祭のパスポートは扱ってませんよね?」と聞くと、案の定「はい」の一言であとのフォローはナシ。犬島に行ったら換えてもらえるのかしらん??? 
周囲を見回すと、私はもらわなかった白い紙を持っている人が多数。もしかして、あれがないと乗船できないとか、そーゆー重要なものではないのか? 紙を持つ人ににじり寄り横目で内容を確認すると「島の住民の方々にご迷惑をかけるような行為をしないように」という注意書きでした。なんだ。でも、なんでもらった人ともらわない人がいるのか???
もろもろ不安と不信を抱きつつ、とにかく船には乗れたし、島にも行けました。続きは別便で。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:32Comments(0)アートと地域

2009年11月28日

汲めども尽きぬ

北九州芸術劇場が市民センターに出張っていく「エンゲキで私イキイキ、地域イキイキ」のひとこまを見に、枝光へ。この事業は全国から講師を公募した点がユニーク。本日は、埼玉県富士見市の市民文化会館きらり☆ふじみにレジデントしている劇団、東京デスロックの多田淳之介さん講師。枝光北地区では、地域住民の方による「健康劇」なるものが行われているとか。地域の重鎮?たちが「水戸黄門」を上演しているそうです。今日は、黄門さまも悪代官も、悪代官の奥さんもワークショップにご参加。高齢化率の高い集団に高校生も混じった、ビミョーなメンバーでした。「枝光といえば・・・」と講師に投げかけられると、「ここには昔、工場があって・・・」と、高齢の方の汲めども尽きぬ話が始まり、「若い娘さんと話ができてうれしい」と止まらぬ勢い。私は途中で博多に戻らないといけなかったので、その顛末がどうなったのかわからないままです。誰か教えて。
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/entry/2009/2009ikiiki.html#20091128
  


Posted by アートサポートふくおか at 21:38Comments(0)アートと地域

2009年11月13日

ふくおか文化ボランティアフォーラム2009

「ふくおか文化ボランティアフォーラム2009」で基調講演と事例報告の講評を担当させていただきました。福岡県では初めての文化ボランティアの集まり。想像以上におもしろかったです。街巡り系(観光ボラ)、文化ホール系、博物館系、文庫活動系、そして文化ボランティアから地域文化コーディネーターへと歩みを進めている文化のまちづくり系の5つの事例報告。文化ボランティアのカテゴリーはこれだけではないでしょうが、初回のラインナップとしては、よく集まっていただいたのではないでしょうか? 主催団体のとびうめの会さんが「戸別訪問」までしてがんばられたおかげで、参加者の集まりも上々だったと思います。
今後は、さらに交流の場を設けたり、分野ごとに議論を深めるなどできるといいですね。関係者のみなさま、お疲れさまでした。  


Posted by アートサポートふくおか at 21:11Comments(0)アートと地域

2009年11月10日

KOGA手づくりアートフェア

古賀市で活動しているNPO法人アートもんは、手づくりでさまざまなモノをつくりだすプロ・アマの女性集団。手づくりの活動を通じて地域を元気にしようとがんばっておられます。毎年「100万人のキャンドルナイト」を主催されていますが、もうひとつの大イベント「KOGA手づくりアートフェア」を12月5日(土)6日(日)に実施するそうです。場所は古賀市内、JA糟屋北部プラザ、ふれあい交流センターです。
古賀市で活動をしている作家さんを中心に福岡県内で(山口からも)さまざまな手づくりモノづくりをしているプロ30組が集合、作品の展示・販売・講習を行います。そのほか、食べ物の出店もあるし巨大な竹のオブジェが出現したり、かなり「なんでもアリ」な楽しいイベントになる様子。
アートもんのブログで出店作家のことなどが紹介されています。
http://artmon.at.webry.info/

ぜひのぞきに行ってください。

  


Posted by アートサポートふくおか at 21:34Comments(0)アートと地域

2009年10月21日

ふくおか文化ボランティア2009

先日、滋賀で行われた文化ボランティアフォーラムは全国フォーラムですが、福岡県内の文化ボランティアの活動状況を報告しあう、「ふくおか文化ボランティア2009」が11月13日に九州国立博物館で開催されます。国博の三輪嘉六館長の講演と不肖・私も少しお話をさせていただきます。
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/f17/bunkaboranteiaforamu.html

県内では初の試み。国博のボランティアさんによるガイドツアーもあります。ふるってご参加ください。


  


Posted by アートサポートふくおか at 21:34Comments(0)アートと地域

2009年09月06日

クリエイティブな草の根

横浜クリエイティブシティ国際会議で、新たな学びの形に関する分科会とアート・イニシアティブに関する分科会に参加。全体会議も途中まで聞いてきました。そして、夜に行われた関連事業で文化庁の文化芸術創造都市ネットワーク会議にも参加。
この2日間の経験を通して感じたことは・・・。
クリエイティブシティへの取り組みは、当然のことながら行政・企業・アートNPOなど多様な主体が関わるものなのですが、やっぱりそれぞれの思惑は一致しないものですね。「クリエイティブシティ」という美しい名のものとに、それぞれが得られるもの、目指す先の像は必ずしもひとつになっていないことを垣間見ました。でも、それでいいのかもしれません。各アクターもそれをわかったうえで取り組んでいるのでしょう。ただ、気になったのは、直接関わるアクターたちが、この取り組みから何かを得るべくうごめく陰で、肝心の市民が蚊帳の外になってはいないか、という点。横浜の現場を詳しく見たわけではないので、勝手な感想です。最終日の首長会議でモデレーターの北沢猛さんがしきりに「市民にとってクリエイティブシティへの取り組みがどうなのか」という問いを投げかけ、言葉を引き出そうとされていたのは、私の懸念が少しあたっている面があるからか?とも思えました。
そして、就任したばかりの林文子横浜市長が「クリエイティブシティへの取り組みもしないといけないのでしょうけれど、選挙戦を通じて市民は環境、子育て、福祉をしっかりやることを望んでいると感じた」と発言され、会場が一瞬しらーっとした場面がありました。でも、この市民感覚、当然ではないですか? 環境、子育て、福祉にクリエイティブシティの活動はどう関わるのか、それが見えないと市民には評価されないでしょう。
イギリスのBOPコンサルティングのジョセフィーヌ・バーンズさんが評価の重要性に言及し「統計だけではなく、絵や写真などソフトなやり方での評価、ストーリーを語ることも大切」と述べられたことが胸に響きました。市民生活から遠いところでお金が回る話だけでなく、アートで人が幸せになるストーリーを紡ぐ草の根活動に、私はいそしみたいと気持ちを新たにしました。  


Posted by アートサポートふくおか at 21:40Comments(0)アートと地域

2009年09月01日

大地の芸術祭 新潟は秋でした

はい、続きまして「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」です。30日(日)の夕方、あうるすぽっとでのセミナーが終了したあと、新潟入り。8月31日の1日だけ、バスツアーでごく一部の作品を見て回りました。ものすごく広大な地域に約370点の作品が点在する、スケールの大きな芸術祭。何日も滞在しないと全体を見るのはムリです。
ほんの一部ではありましたが、今回のトリエンナーレのテーマである「廃校プロジェクト」と前回のテーマだった「空き家プロジェクト」の作品を中心に数はけっこう見てきました。とはいえ、私の関心は運営手法や地域との関係性。ガイドしてくださったボランティアさんにひっつきもっつきしていろいろ聞きだしたことを、その日のうちに書きとめたものから下記に転載します。

8月の終わりの1日、すでに新潟は秋の空気。行くところはすべて山と田圃ですが、稲は黄色く色づき穂がしなっています。もう2週間もしたら稲刈りの季節。小雨にそぼ濡れることもありましたが、ガイドさんによれば「真夏のカンカン照りでこの距離を歩くのは大変。今日はツアー日和ですよ」ですと。
1日しか回れないのでバスツアーに参加。乗車場所はホテルのすぐそば。9時15分集合で同じ場所に戻るのは19時ごろの予定。同じバスに乗ったのは23人。でも同じルートを回る2号車もいるから、平日なのに結構な人数が参加していることになります。しかも、私が参加したのは北回り。ほかに南回りもあります。ガイドはボランティアの方。日頃は横浜で仕事をされている女性。こへび隊メンバーです。こへび隊は学生が多いそうですが、社会人やリタイヤ組もけっこういて、700人から800人(3年前の実績)くらいいるそうです。東京方面から参加する方が多いようで、金曜日の夜8時、代官山発のこへびバスに乗って深夜に現地入り、土日に活動して日曜深夜に戻る、とか。ボランティアは温泉に100円で入れるし食事は300円、パスポート(作品を見るのに必要です)がもらえるなどの特典はあるものの、報酬はなし。しかも1人でバスに乗って丸1日のツアー全体を仕切る、かなり大変な仕事です。ガイドのほかに作品の管理、修理、ボランティアのまかないをするボランティアさんもいるそうです。今回のトリエンナーレは9月13日で終了ですが、すぐに秋の催しがあるし、常設されている作品のために雪に備える雪囲い、冬は雪かき、春のイベントと年間を通じてさまざまな活動があると聞きました。
今回ご一緒してくださったOさんは、横浜トリエンナーレではボランティアはされていないとか。この土地の魅力に引きつけられているのでしょうね。
バスの臨席に座った女性は地元の方なので、時間を見つけてあちこち見に行かれたそうですが、今日のツアーで行ける場所はとても山奥で1人では行けないのでツアー参加にしたのだとか。ボランティアのOさんも、「今日行くところは越後交通の運転手さんじゃないと行けない」と言っていました。
見ることができた作品は、ものすごい数。このツアーは今回のトリエンナーレの柱である「廃校プロジェクト」を中心に、前回のテーマ「空家プロジェクト」の作品にも寄ったし、場所の数では10か所に満たないくらいですが、作品数は無数。それでも、トリエンナーレ全体では作品数は370くらいだそうで、見て回ったエリアからいっても1日ではほんの一部しか回れません。
この芸術祭は2000年開始。今回が4回目です。最初は、現代アートなどわからないし、よそものが入って来る殊に警戒気味だった地元の方々が、作品を見にたくさんの人が訪れることを知って認識が変わってきたそうです。また、総合ディレクターの北川フラムさんが足繁く地元に通って対話を続けたこと、東京からきた若い学生ボランティアが一生懸命になれない作業に取り組む様子を見て、地元の方が手を貸すようになるなど変化が出てきた、と聞きました。実際、下条(げじょう)地区(ここは当初から好意的な反応だったそうです)は独自にバナーをつくって民家の軒先にも下げていたし、麦茶とおつけもので私たちをもてなしてくださるところもありました。普段は考えられないような多くの車が押し掛けることもあるので交通整理をしてくださったり。また、この芸術祭が経済的なメリットをもたらしていることも確かで、とっても安い値段で野菜や手作りの品を販売するテントが出ていたり、本日の昼食場所「うぶすなの家」でもてなしてくださった地元の女性のお話では「ここは私たちがつくった野菜を買ってくれるし、バイトする場所でもある」。経済の仕組みも組み込まれていることが継続できる秘訣なんでしょうね。
2000年には行政が管理する公共施設を中心に作品設置をしたのが、2003年は地域ごとの拠点施設4カ所ができ、2006年は空家プロジェクト、今回は廃校プロジェクトと、地元の理解がないとできない内容に進化しているようです。トリエンナーレは芸術の祭典であると同時に、地域振興イベントである、ということはガイドのOさんも話されていました。隣の作品まで歩いてはいけない状況を作り出すことで、「旅」をすることになる、そこから広がるさまざまなことを組み込んだイベントなわけです。

あ、作品のことを全然書いてなくてすみません。たくさん見たなかで印象に残った1点についてだけ書きます。「胞衣(えな)みしゃぐち」。地面を2メートルくらい掘って、再度、土を積み上げ、子宮のような空間をイメージしてつくられた洞窟のような作品。なんでまた、こんな大変なことを・・・。アーティストに「なんで?」と聞いても、「そのときはそうしなくちゃいけなかったんです」とか言われるのでしょう、きっと。3年前のトリエンナーレで制作されたと聞きました。時間の経過によってコケなどの植物が自然に発生していて雰囲気のある空間になっています。中心部に植えられた樹は生命の象徴なのでしょうか。いかにも人工的に植えた感じでヒョロヒョロと伸びていましたが、周辺の壁や地面に生えた地衣類のリアルさと対照的でした。
  


Posted by アートサポートふくおか at 23:16Comments(0)アートと地域

2009年07月04日

BEPPUの坂本さん

「連続講座2009 アートでつなぐ人とまち」の第3講。NPO法人BEPPU PROJECTの坂本倫子さんをお迎えして、BEPPU PROJECTの設立経緯からその活動内容、今年実施された「別府現代芸術フェスティバル2009 混浴温泉世界」のお話などをじっくりうかがいました。NPOの代表である山出淳也さんや混浴~の総合ディレクター・芹沢高志さんのように、よく知られた方ではなく、事務局を担った若い世代の代表として弱冠25歳の坂本さんにおいでいただき、アートNPOの活動に関わった経緯や実際のお仕事の様子までお聞きできたのは、我ながらいい企画です(ホレボレ)。
海外でアート活動をされていた山出さんが、別府でいくつものNPOが活動し、まちが活性化しているという報道を目にして、まちの可能性を感じて別府に戻られたのが2005年。国際芸術祭を開催することを目標に、もろもろの交流・展開の期間を経て、ついに今年、一大イベントを開催された、というお話は、混浴~の記者発表の場などで山出さんご自身が語っておられたことでもありけっこう知られているかもしれません。それに加えて、当時大学生だった坂本さんがBEPPU PROJECTの始動に、「なんにもないと思っていた別府のまちで、アートイベントが展開される!」と大きな可能性を感じてNPOの世界へ飛び込まれたというお話が大変おもしろく、それも、ボランティアからNPOの専従スタッフとして就職するなど、新たな世代の胎動を感じたことでした。
でも、講座終了後の懇親会で「自分が新卒でNPOに就職しといてナンですが、ウチは新人の教育係もいないし、今から新卒を採用するのは、ちょっと大変だと思います」というお話もあり、ご自身、社会人としての経験を手探りで積んでおられる最中のご苦労を感じました。
また、講座のなかのお話では、「アートでまちづくりをしているわけではない。アート活動が結果としてまちづくりに効果を上げることはある」という言葉が印象的でした。私は、アートと社会を、かなり社会寄りのスタンスでつなぐので、アート側にある方々との距離の取り方にはいつも留意をしています。とはいえ、アートと社会(または「まちづくり」)の間のどのあたりで「落とす」かは、いつも悩ましい問題。坂本さんのお話では、美しくなく快くもない作品について、行政等から「フェスティバルにふさわしくないので展示しないように」というお達しがあったにも関わらず、作者のメッセージを届けることにこだわったところ、作品を見たおばあちゃんが、メッセージをしっかり受け取って感想を言ってくれたというエピソードなども語られ、「アートがまちづくりのツールになってはいけない、とあらためて思った」と述べられていました。とても難しい問題なのですが、まちづくりがそこに住む人、働く人のまちへの見方が変わることから始まる場合が多いことを考えると、アートと社会のどっちに寄るか、というより、人の意識を変えるきっかけをどうつくるか、ということを原点にすべきなのかなぁ、などとボンヤリ思った夕べでした。  


Posted by アートサポートふくおか at 23:30Comments(0)アートと地域

2009年06月27日

演劇祭

九州日仏学館の講演会「アヴィニヨン -世界で最も大きな劇場-」へ。アヴィニヨン演劇祭のディレクターを長年務められたダルシエさんのお話をうかがいました。おもしろかったのは、アヴィニヨン演劇祭が始まった経緯のお話。アヴィニヨン近郊に住む美術収集家が、自分のコレクションを展示する場所を探していたところ、現在のメイン会場になっている教皇庁の中庭が「いいんじゃない? 演劇も音楽もいれちゃおか」という具合に始まった、というご説明でした。たくさんの人を集めて経済効果を狙って・・・という話ではないのを興味深く感じました。
ちなみに、アヴィニヨンと並び称されるエジンバラ演劇祭には行ったことがあります。そのときに入手した資料によると、エジンバラ演劇祭は、第二次世界大戦後の英国の沈滞ムードを振り払おうと企画されたと書いてありました。その際、どの都市で開催するかは冷静に分析されたようで、それなりの数の観光客を受け入れることができる宿泊施設などのインフラが整っていること、近郊にほかの観光スポットがあることなどからエジンバラが選ばれた、とのこと。こちらは経済効果を最初から狙っていたのですね。ただ、私がヒアリングした時点(約10年前)では、エジンバラ市が演劇祭に助成金を出す理由としては、経済効果だけでなく教育効果が強調されていました。演劇祭に参加するカンパニーによる地元の子どもたちやアーティストを目指す青少年を対象とした教育プログラムの効果のみならず、世界的に有名なフェスティバルがわがまちで行われていることで子どもたちが抱く自尊心などにふれて、助成の理由を説明されたことが印象に残っています。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:35Comments(0)アートと地域

2009年06月14日

20年度人財づくり講座、完結

春日の「人財づくり講座」、20年度の締めくくり。3月終了予定でしたが、先日実施した「紙ヒコーキ工作塾」を卒業制作としたので今年度にずれ込みました。最後のわりに参加者が少なかったのは、「紙ヒコーキ」で達成感&終了感を味わってしまったから?
偶然でしょうが、本日集まった方々は、日頃はどちらかというと控えめな感じの方ばかり(一部、例外アリ)。こういう方々とざっくばらんに振り返りのお話をする時間になったのは思わぬ収穫でした。講座のカリキュラムだけでなく、オフ会のようなものも必要、とあらためて実感しました。
20年度講座は記録を作成していったん閉じますが、秋には21年度バージョンが始まる予定。また新たな参加者の方を待望しています。20年度のおにーさん、おねーさんも、また参加して、後輩を引っ張ってくださいね。みなさま、お疲れ様でした。  


Posted by アートサポートふくおか at 23:23Comments(0)アートと地域

2009年05月08日

別府その二

 8日(金)別府2日目。
 朝、ホテルを出る準備をしていたら、テレビの情報番組で「やねだん」の紹介をしていたので出発が10分遅れました。「やねだん」は鹿児島県鹿屋市の柳谷集落のこと。むらおこしで有名な地域です。空家に芸術家を住まわせたりもしています。この春からは農業をやってみたい若者を空き家に誘致する活動も始めたとか。
 歩いて中央公民館まで行き、昭和3年に建てられたという建物の外観を拝んでからバスで鉄輪(かんなわ)へ。「混浴温泉世界」の会場のひとつになっている地区なのですが、到着したところでメイン会場のギャラリーが休館と分かってがっかり。そうでした。だから昨日のうちに行けないかとあれこれ考えて、このギャラリーで行われるアート・ボランティア養成講座に参加しようとしたのですが、3回の講座を受けたあと、実際にボランティア活動をするのが条件と言われたのであきらめたのでした。まあ、いいやと歩き始めて、インフォメーションセンターのところまで来たけど誰もおらず・・・。ムリを承知で地図を頼りに歩き続けたら「作品」のところまでたどり着きましたが、公民館のなかに設置されているので、中に入るには係の方の案内が必要でした。その「係」が不在で、さっきのインフォメーションセンターに戻って尋ねるようにと掲示されています。仕方なく戻ると今度は人がいました。このように、まち歩き型イベントは鑑賞者の能動的な行動が要求されるのですね。作品が1カ所にずらっと並ぶところに入っていくわけではないので、自分で作品を探し出す覚悟が必要です。
 ところで、さきほどの公民館の作品は映像で、ほふく前進でまちを這って回るアーティストの姿と、アーティスト目線のカメラが捉えたまちの様子。ほふく前進、大変お疲れのご様子で応援したくなります。なぜ、こんなしんどいことをするのでしょう。きっと、そうしなくてはならない何かがあるのでしょうね。アーティスト目線の映像では、川におっこちそうになったり、露天温泉につかる人々に混じってお湯に入ってしまったり。同じアーティストの作品が国際観光港にもあります。この作家さんは1年ほど前に別府を訪れたそうですが、このように別府での滞在制作で、ここでしかできない作品制作を基本とした展覧会。会期の数週間前に現地入りした作家も多いと聞きましたから、事務局の苦労が忍ばれます。
 公民館に案内してくださった係の方はボランティアではなく事務局スタッフですとのこと。ボランティアの人数が足りなくて、すみませんと言われました。いえいえ。
 鉄輪から国際観光港へバスで移動。行きとほぼ同じ道を戻り、ビーコンプラザの横を通りました。なるほど大きい。別府アルゲリッチ音楽祭のメイン会場ですよね。今年11回目というだけあって、まちなかのポスターやバナーは「混浴温泉世界」より行き渡っている感じがします。ちなみに音楽祭のほうは5月11日からの開催です。
 午後は、NPO法人BEPPU PROJECTの坂本倫子さんと打ち合わせ。坂本さんには「連続講座2009 アートでつなぐ人とまち」のゲストとして7月4日に福岡においでいただきます。今回の別府行きは、この打ち合わせがメインの用件だったのでした。もろもろお話したなかで、学生ボランティアからNPOの専従スタッフになったユニークな経歴についてもうかがいました。「生活していけてます?」と失礼ながらお尋ねすると「はい、まあ、なんとか」と驚くべき答えが返ってきたのでエビぞりました。坂本さんのように20代半ばから下の世代では、こんな方も出てきているらしい・・・。こういうお話も福岡でぜひうかがわなくては。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:48Comments(0)アートと地域

2009年05月08日

別府その一

 5月7日(木)8日(金)、別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」を見てきました。このフェスティバルは6月11日まで開催しています。詳しくはこちら→http://www.mixedbathingworld.com/

 以下、2回にわけて道中のあれこれをご報告します。
*************

 7日8:34博多駅交通センター発の高速バスで別府へ。2時間半ほどのドライブ。風邪気味で体調に不安があり、ずっと寝ていました。少し寒い。
 お天気はかなりいいようです。日差しがまぶしい。
11時すぎに到着。まずインフォンーションセンターに行って「パスポート」を購入。1800円ナリ。マップをもらって見つめるも、この時点で自分がまち歩き型イベントには不向きであることを思い知らされました。ワカラナイ。今いるのがココで、一番近い作品はココだけど、地図上で簡単に書いてあるソコにはどうやって行ったらいいの? とりあえず、歩き始めましたが、地図を見ながら歩いても作品のポイントに到達できず、どこを歩いているのかわからなくなり、途方にくれました。同じところをかなりグルグル回った感じ。最初に見つけた作品は、神社の境内に温泉水を入れたお皿がたくさん並ぶもの。水は干上がっていましたが。周辺は風俗のお店がたくさんあり、店の前でオジサンたちがたばこを吸いながらこっちを見ています。
 フェスティバルの青い旗を頼りに半ばヤケクソで歩き回り、いくつかの作品と遭遇しましたが、アーケードの商店街には閉じたシャッターや壁に大きな絵が描かれていたり、写真の展示があったり、店先の見せ方がもともとアート的なまちのようです。今回のイベントでの作品を見て回るというより、町並みのなかのアート的なものを探して回るツアーになりました。これらは、アート系に限らないさまざまなまちづくり・まちおこし系NPOなどの取り組みが以前から行われていることも影響しているのでしょう。
 おもしろいと思ったのは「わくわく混浴アパートメント」。清島アパートという6畳一間、トイレは共同、お風呂なしの古いアパートに100人ほどの若いアーティストが入れ替わり立ち替わり滞在しながら作品を制作・展示しています。日々、制作活動が行われているので、その様子をそのまま見ることもできるし、作品が変化していきます。公開している部屋以外にアーティストの宿泊用の部屋もあるそうですが、私がたまたま話しかけた男性アーティストは「もう部屋がいっぱいなので、ボクはこの部屋(押入のなかにペイント中)に寝袋を持ってきて寝てます」とのこと。2Fへの階段を上がってすぐの壁に大きな絵を描いていた女性は「あと4日くらいで、私は東京に帰らないといけないんだけど、できあがらないんですよねー」と笑っているし、この混沌がステキ。1Fにあった小さな黒板を見ると、その日の受付・掃除などの当番や取材の予定、ミーティングの時間などが書き込まれていて、「共同体」として運営されている感じが楽しそうです。この日の取材はNHK「日曜美術館」。5月31日OAだそうです。でも、あの番組の雰囲気とこのアパートの感じは少し違うんですけど。
 GW明けの平日昼間ですが、私と同じように地図を持ってきょろきょろしている人がけっこういます(私ほど同じところをグルグル回る人はいないでしょうが)。インリン・オブ・ジョイトイの作品(予約制です)を一緒に見た男性はネットで探した素泊まり2500円(個室)のゲストハウスに滞在しているとか。1Fがお風呂、2Fが宿泊所、広間で雑魚寝だったら1500円だそうです。ところで、インリンの作品は、彼女が「赤ちゃんを育てながら働き、強く生きる女性」に扮した映像作品を昔の特殊飲食店で流しつつ、2Fでは牢獄のような部屋の隣に赤ちゃんをイメージさせるインスタレーションがしつらえられたもの。お店は、もちろん今は営業していないのですが、その一帯はいわゆるそーゆーお店が建ち並ぶ小さな路地。戦災に遭わなかったので昔のままの狭さ、猥雑さで残っているのだそうです。ただし、もろもろの法律にひっかかるので営業はできない、でも所有者の権利もあるので取り壊しもしないまま、という地域。案内してくださったボランティアの女性は「まちにはこういう場所も必要なんでしょうねぇ」とサバけておられました。住民も行政も、あえてそのイメージを払拭してしまおうとはしていないようです。かといって活用することもなく、そのまま? 
 時折「きつねの嫁入り」状態で雨が降りましたが、日差しは強く、晴雨兼用の傘が大活躍。
 風邪具合がシンドイので予定より早くホテルにチェックインして一休み。そのあと、オンパク主催の「竹瓦ゆうぐれ散歩」に参加。オンパクについてはこちら→https://www.onpaku.jp/com/
 ゆうぐれ散歩はボランティアの方が解説しながら案内してくださる1時間ほどのまち歩きツアー。また歩くんかい、ですが、どんなルートでどんな話をされるのか興味があったので参加してみました。海沿いのホテル前から路地やたくさんある温泉をいくつも、ぐりぐりと狭いところに入り込みながら案内していただきました。地元の人しか知らない、ふつうの観光客向けガイドとはちょっと趣の違うお話があっておもしろかったです。ガイドさんはまだ若い男性。スーツにネクタイ姿。もう6年もガイドをされているとのこと。観光業の方でしょう。1人暮らしですが、お部屋に風呂はないそうです。100円で入れる共同温泉などがたくさんあるから。ただ、別府の温泉は温度が45度前後と高く、地元の方は水で温度を下げたりしないので、地元の方が利用するお湯に入るには慣れが必要とか。水を入れると怒られる!のだそうです・・・私はムリです。まち歩きツアーの終着点は竹瓦温泉。その前のお店でお茶とお饅頭がいただけて、ツアー料金500円。よろしゅうございました。
 竹瓦温泉の砂風呂は肩こりにいいと聞いたので、入ってみたかったけど、ちょっとしんどいので薬局に寄ってホテルに戻りました。風邪薬が効いたのか、今は具合がよくなり、空腹感も出てきました。ホテルは大きな観光ホテル。ビジネスプランなんですが、空いてたんでしょうか、ベッドが4つもある広ーい部屋です。
 今、テレビで別府アルゲリッチ音楽祭のことが流れていました。大分の地元番組でしょうか。総合プロデューサーの伊藤京子さんへのインタビューも放送されていました。今年の音楽祭の見所に関するコメントですが、別府のまちを「温泉」だけでなく「音泉」にしたい、アート系のフェスティバルやオンパクの取り組みなどもあって、別府が洗練されたまちに変わりつつある、という発言もされています。芸術はまちや人と関わるものだという伊藤さんらしいお話だと思いました。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:43Comments(0)アートと地域

2009年03月16日

シビックプライド

もろもろの年度末業務のあと、夕方から「シビックプライド」の勉強会。そこに住み続けたい、そこで働きたい、遊びに行きたいと思える都市には、その都市を愛し、都市のために何か行動を起こす市民がいるもの。そうした行動を喚起する都市と人の間のコミュニケーションをデザインする、という考え方のようです。「文化のまちづくり」の領域で語られることと重なる部分があるように思うので、関心を持って参加しました。
(財)福岡アジア都市科学研究所が「シビックプライド研究会」のメンバーを招いて開催した勉強会、「福岡におけるシピックプライドとは?」を参加者同士で話し合う時間もあり、「郷土愛とシビックプライドは同じなのか?」という話題になりました。シビックプライドはお国自慢とは違い、都市のために自ら行動を起こす市民の存在を重視するもの、と私は受け止めています。芸術文化の分野に引き付けて考えると、文化的なモノやコトに関心がある方は多いものの、自分が好きなことを楽しむだけでなく、芸術や文化の力を生かしてまちをもっと輝かせるように行動する人になるまでには、いくつかの段階があり、きっかけがないとその階段は登れないかもしれません。階段を登る人の背中を押すにはどうしたらいいか、このことが今、一番の課題のように思えます。シビックプライドの考え方から、その答えが見つけられるのか?
ご興味のある方は、シビックプライド研究会のメンバーが書かれた『シビックプライド 都市のコミュニケーションをデザインする』(宣伝会議)をご参照あれ。  


Posted by アートサポートふくおか at 21:31Comments(0)アートと地域

2009年02月07日

ナイスキャラ

午前、市内某校区の子ども会育成会の事業で行うクレパス画ワークショップの打ち合わせ。ハガキに描かれた作品を見せていただき、いろんなことができるのに感嘆。引率の大人の方がはまるに違いない。

午後、古賀市の文化芸術フォーラムでコーディネーターを務めました。シンポジウムというには時間が短いので、ラウンドテーブルとしてざっくばらんな意見交換にしてもらいましたが、その前に、実際に文化を通じたまちづくり・人づくりに関わっている市民の方々から活動報告をしていただいたのがとっても有効だったと思います。報告してくださったお2人はナイスキャラ。アラフォー世代と元気な高齢(好齢?)世代の代表が、生き生きとしたライフスタイルを垣間見せてくださいました。
ラウンドテーブルには市長さんも登壇しておられ、けっこう具体的に「今後はこうしたい!」という施策をぶちあげられました。終了後、「今日のシンポジウムはよかった。楽しかった」としきりにおっしゃっていましたので、今後に期待できるかも、ですよ。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:18Comments(0)アートと地域

2009年01月27日

混浴温泉世界

4月から別府で開催される「混浴温泉世界(別府現代芸術フェスティバル2009)」の福岡でのプレス発表に行きました。プレス発表とはいっても私のような一般人にもオープンですから、けっこうたくさんの方が来られていました。中心的な役割を果たしているNPO法人BEPPU PROJECTの活動に関する簡単な紹介や今回のフェスティバルのコンセプトなどがうかがえました。アートがまちにできること、それも別府だからできることの追及にこだわっている感じ。ステキです。おもしろかったのは、若いスタッフの方々が「頼みもしないのに」集まってきている、という話。しかも県外から、必ずしも美術に関心があるわけでもないのに。おもしろいアートイベントはほんとに吸引力がありますね。昨年、東京のトヨタ自動車でお会いした坂本倫子さんもスタッフの一員。いずれ福岡にお招きして詳しくお話をうかがってみたいと思っています。
このフェスティバル、私は絶対行こうと思っているのですが、イベントスケジュールが明らかになるのは2月6日ごろ、チケット発売は2月8日予定だそうです。宿泊場所の情報とかもほしいなぁ。  


Posted by アートサポートふくおか at 23:19Comments(0)アートと地域