2010年03月04日

管理のなか、アートを求める

昨日、今日と東京・横浜へ。
東京は(財)地域創造主催のセミナー「広がるアウトリーチの可能性~文化・芸術と教育・福祉分野の連携について~」。芸術の魅力を伝え、そのファンを拡大する「アウトリーチ」ではなく、芸術がほかのジャンルのなかで有効に作用する現場が増えているわけで、これはもう「アウトリーチ」とはいえないのでは? 私は「コミュニティ・アート」だと思います。
事例のなかにあった特別養護老人ホームでの作曲家・野村誠さんの活動。入所しているご老人たちとの即興演奏や曲づくりの様子が上映されました。どうしても、先週、施設に入った我が父の姿と重ねてしまいます。楽しそうな様子のみなさん。でも、うちの父は例え野村誠さんが来られても、この種の活動には参加しないでしょう。こういうものを切実に求めている人たちがいる一方で、そんなことに触れたことも触れる気もなく拒絶する人もきっといるはず。事例の施設の苑長さんは、「施設は法律に従って運営しており、どうしても制度による『管理』のなかにある。管理されながら生きる・・・そのなかでアートとの出会いを求める部分があるのでは?」と語っておられました。お酒もたばこも禁止、お金もスタッフの方に預けなくてはいけなくて「何もない」とつぶやきながら、たばこを探して冷蔵庫やタンスを開け閉めしている父。この父の自由を確保してあげようとすれば、私は仕事を辞め、自分のことをすべてあきらめて24時間を父に捧げるしかないわけで・・・。ステキな事例の映像を、平静に見ることができませんでした。



Posted by アートサポートふくおか at 22:14│Comments(1)
この記事へのコメント
古賀さん、先日はどうもありがとうございました。実はいつもブログ拝読しています。
野村さんの活動について、「『アウトリーチ』とはいえないのでは?私は『コミュニティ・アート』だと思います」というのは、たしかにそうかもしれません。たぶん野村さんは『コミュニティ・アート』でもない、と言うんじゃないかと思いますが、少なくとも『イン』と『アウト』という境界の行き来があるわけじゃないから『アウトリーチ』ではないですね。
ありがとうございます。
Posted by とらお at 2010年03月05日 08:01
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