浦島さん
ある方の論文で読んだのですが、「浦島太郎」のお話で、最後に浦島さんが玉手箱を開けたらおじいさんになってしまった、というくだり、お話を読んだ子どもたちは(大人もそうですが)年をとることをネガティブにとらえてしまう場合もあるようです。論文のなかでは「老いはなにかの罰なのか」という問いかけがされていて興味深く感じました。玉手箱を開ける前、浦島さんは竜宮城で酒池肉林の生活を送っていたわけで、本来ならこっちの世界であくせく働いたり、人とのあつれきに苦しんだりしながら成長しつつ生きていくべき時間をほけーっと過ごした、そのことが問題なのですね。老いは成熟も意味するはずで、成熟しない「空っぽの老い」(著者の言葉です)が恐ろしいことなんです。私は竜宮城には行かないし酒池肉林もしませんけど、よほど意識的に生きていないと「空っぽの老い」はすぐにやってきそうな気がします。
明日は長女の19歳の誕生日。自分の歳より子どもの年齢で時間の経過を切実に感じます。