2009年09月01日

リリックシアターから学ぶこと

ただいま帰りました。東京・あうるすぽっとで「学校と芸術をつなぐ実践ストラテジー」、新潟へまわって「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」へ。それぞれ簡単にご報告しますね。簡単に、と言いつつやっぱり長文になるでしょう。すみません。
まず「学校と・・・」

主催はNPO法人シアタープランニングネットワーク。英国・ロンドンの劇場、リリックシアター・ハマスミスが展開する青少年を対象とした活動やその背景にある劇場の戦略について担当者から直接話をうかがい、学校と芸術をつなぐコーディネーターの仕事に関わる考え方を学ぶ・・・ことが目的だったはずですが、講師が家庭の事情で直前に交代されたせいか、内容が募集時のアナウンスとはやや違うもので、リリックシアターの活動事例と戦略のお話がかなりを占めておりました。ただ、学べる点はいくつもありまして、私なりに留めておきたい点はこんな感じ。参加していない方にわかりやすいメモではありませんが、自分のための備忘録として書き残しておきます。
なお、下記にも出てきますが、リリックシアターは劇場としてのさまざまな活動を行うなかで、青少年のための、それも必ずしも演劇のプロを目指すわけではない子どもたちのために演劇を活用することに力を入れており、そこに他の劇場と異なる専門性を蓄積して社会的な認知を得ています。地域劇場のあり方のひとつの事例として大変興味深いです。

・子どもへの働きかけを行う活動の場面のうち、学校以外のカテゴリーのつくり方。リリックの場合、親子(「青少年」は14歳から18歳くらいを指すので、それよりも小さい子どもと親)、アーティストを目指す子とそれ以外の子が一緒に、アーティストの関与のもと行う活動(たぶん、内容もアーティスティック)、さまざまな事情があって劇場にアクセスできない子(社会的な課題がある子、虐待や犯罪を含む)、放課後のプロジェクト(子どもをストリートに野放しにしない)、仕事ベースの学習(ホールでの仕事につきたい子の就業経験)そして、それらをつなぐ活動、と設定している。

・アーティストが、対象である子どもに関する専門的な知識を有する必要はない。アーティストをソーシャルワーカーにする必要はないし、それでは劇場が劇場でなくなってしまう。ピアメンター(例えば、犯罪に手を染めてしまいそうな子にとって、同じ境遇から抜け出した少し年上のお兄さん)やプランをつくる専門スタッフが芸術以外の専門性を持ち、アーティストをそこにあてはめる。

・リリックでは、まず、子どもたちありき。集まった子の顔ぶれを見てふさわしいアーティストを決める。

・問題のある子にはピアメンターの存在は不可欠。ただし、すべてを劇場が抱え込むのでなく、他の専門家とのネットワークをきづいて、「ここから先は専門機関の仕事」と引き渡す。

・英国の手法はすべてポリシー、プリンシプル、そしてその運用法がきちんと文章化されている。このことがステークホルダーとの関係づくりにも生かされているように思える。

・英国のクリエイティビティ育成の考え方は、就労につなげるもの。だから、劇場の青少年向け活動でも、学校からはみ出してしまった子に資格認定を与えたり、上位の学校に行けるベースの学力認定が受けられるように考えられている。

・リリックは、社会に貢献する芸術に関わる活動をする、と方針を決めている。すべての劇場がその方向に行っているわけではなく独自の路線。このことがリリックの強みであり、ステークホルダーとの関係づくり、資金調達にもつながる。


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Posted by アートサポートふくおか at 23:00│Comments(0)文化施設
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