2010年07月31日

瀬戸内国際芸術祭③

ホテルは岡山にとっていたので、翌朝も岡山発。実は出発前の計画では2日目は直島に渡って女文楽を鑑賞し、そのまま直島を回るか、豊島に渡る、または小豆島? どっちにしようか・・・だったのですが、突如、啓示を受けて女木島(めぎしま)へ。ここは別名・鬼ヶ島。そう、ももたろさんの鬼ヶ島。鬼とは、海賊のことだったようです。島の洞窟に住みついた海賊が、時折、里や他の島に出没して食糧を略奪したり、若い娘を誘拐したりしていたのでは? おお、おそろしや。そして、この島には、直島福武美術館財団が運営する福武ハウスもあります。休校中の小学校校舎を活用したギャラリー。
まず、島に行くためにJRマリンライナーで岡山から高松に渡りました。高松駅についてビックリ。芸術祭に対するテンションが岡山側とは全く違いました。お祭りとしての盛り上げ方が盛大。これは島に渡っても同様に感じました。女木島の案内所にいた方に聞いてみると「岡山県で作品があるのは犬島と宇野港だけだし、岡山は秋に国民文化祭があるので、それどころじゃないのかも」とのご意見でした。ちなみに案内所におられる方々はボランティアの「小エビ隊」?と思ったら、そうでもないらしく「私は町に雇われた通訳です」という方や、たぶん役場の職員さん(にほひでわかる)もいるようです。みんなスタッフTシャツを着て、スタッフ証を首からブラ提げて。私もコームインだったころ、いくつかのイベントに「動員」されたので、そのときにもらったTシャツが今、ネマキになってます。
あ、それで女木島(鬼ヶ島)の洞窟。夏でも気温が15度程度という涼しく心地よいところですが、心地よいのは灯りが仕込んであるからで、真っ暗な洞窟内で監禁されていた里の娘は怖かったろう。この島は「鬼ヶ島」で売っているので、洞窟の中にも案内板がたくさんあるのですが、遊園地もどきの鬼の人形がいたるところにあるのはいただけませんでした。桃太郎のお話のイメージを壊さないようにという配慮でしょうか。実際はもっとエグイ場所だったはず。洞窟内にも芸術祭のために制作された作品があり、こちらのほうが洞窟の空気にマッチしていました。が、大勢来ていた家族連れには「キモイ」「コワイ」と不評の様子。
女木島からいったん高松に戻り、午後は大島へ。大島は島全体が国立のハンセン氏病療養所になっています。ここで「やさしい美術プロジェクト」が展開されているので行ってきました。今日は特にイベントがあるわけではないので、ハンセン氏病のこと、島のこと、プロジェクトの話を聞いたあと、納骨堂にお参りさせていただき、プロジェクトの一環であるカフェでお茶を飲み、もとは入所者の住まいであったところを活用したギャラリーや文化会館での折り紙みたいな作品づくりをしてきました。大島ではツアーに参加する形式になっており、ガイドはボランティアの小エビ隊の方。入所者の居住区域に迷い込まないよう、ご迷惑をおかけしないよう再三注意を受けました。イベントがあるときは、入所者のなかの「名人」さんによる講座が開かれるとか。隔離という不幸な歴史を背負った島と外部をつなぐのが、「やさしい美術プロジェクト」のようです。そのやり方はあくまで謙虚。島の方々の思いに寄りそう優しさを強く感じました。
1泊2日で島3つを巡るのは、少し強行軍だったかもしれません。時間の余裕があるなら涼しい季節にもう1度行きたいところです。難しいだろうけど。  


Posted by アートサポートふくおか at 23:17Comments(0)アートと地域

2010年07月31日

瀬戸内国際芸術祭②

で、犬島。公演までは3時間ほどあるので、芸術祭の作品である「家プロジェクト」などを見て回りました。もちろん、その前にパスポートを入手しないといけないわけで、犬島の案内所で引換券と換えられてひと安心。さて、島に点在する作品を見て歩きましたが、地図を見ながら歩いても、あまり分かりやすい状況ではなく、参加者同士で「こっちの道には作品がなかった」「あっちに〇番の作品があった」と情報交換してどうにか作品を発見。「家プロジェクト」は、空き家になった家をアートで再生するものですが、この島の作品たちは、家が生きていた頃の空気感がなく、形状は「家」だけど別の「作品」になっていたように感じました。別にいいとか悪いとかでなく。
犬島といえば、古くは江戸城、大坂城築城のために石を切り出したという石の島。そして1909年から10年間は銅の精練所が稼働していたことが大きな特徴です。近代化産業遺産にもなっている精錬所跡の煙突は島のいたるところから見えるシンボル。今はここがアートスポット(美術館)として活用されています。煙突によって空気を冷やしたり、逆に温めたりすることができるんだそうで、こうした煙突の作用を活かした建築物。レンガ造りで独特の精錬所と一体化していました。
「維新派」の公演「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」のセットは本物の空を借景にした丸太組みのもの。島が海によってさまざまな大陸や他の島につながっていることが意識できる場所にふさわしい作品。でもお尻は痛かったデス。
公演会場の手前には、アジア各国?の屋台が出て、開演前にはミニステージやパフォーマンスもあって雑多な感じがステキでした。「モンゴルパン」なるものを食したところ美味。でも途中で、具材から出た汁がダダもれ状態になり、バッグも服もダダ汚れ。以降、翌日までチリソース風の赤いものが付着したまま過ごしました・・・。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:50Comments(0)アートと地域

2010年07月31日

瀬戸内国際芸術祭①

30日から瀬戸内国際芸術祭2010へ。長期のイベントなので「いつ行こうかな?」と迷っているうちに終わるに違いないと、「維新派」の犬島公演に合わせて決行。大地の芸術祭のように便利なバスツアーなどなく(なんせ島ですから)、いつ、どの島に、どうやって行くか、すべての旅程を自分で組まなくてはいけない、とってもめんどくさい旅行でした。
出張や旅行にはいつもコロコロを引いて行くのですが、今回の「維新派」公演は野外劇場だし、島を歩きまわるには邪魔だろうとリュックを背負って出発。前日に日傘を失くしたので帽子を深くかぶり、長袖のシャツを着ていきました。岡山まで新幹線、そこから犬島までは「維新派公演ツアー」にあらかじめ申し込んでいたので貸し切りバス&船で移動。岡山駅からバスで宇野港まで行ったあと、船は何時に出るのか、どこで待つのか、案内が何もなく、とにかく同じバスだった人たちと一緒にいればだいじょぶだろうと目をつけたカップルにひっつきもっつきしていました。芸術祭の作品を見るのに必要なパスポートの前売り券(引換券)を購入していたのですが、ここまで本物のパスポートに引き換える場所がみつからず、宇野港待合所の前に出ていた芸術祭インフォメーションセンターの人に尋ねると「待合所の中のチケットとか売ってるとこで聞いてください」とのこと。アレは乗船券の販売所ですけど。チケットとか売ってるとこのおじさんに「ここで芸術祭のパスポートは扱ってませんよね?」と聞くと、案の定「はい」の一言であとのフォローはナシ。犬島に行ったら換えてもらえるのかしらん??? 
周囲を見回すと、私はもらわなかった白い紙を持っている人が多数。もしかして、あれがないと乗船できないとか、そーゆー重要なものではないのか? 紙を持つ人ににじり寄り横目で内容を確認すると「島の住民の方々にご迷惑をかけるような行為をしないように」という注意書きでした。なんだ。でも、なんでもらった人ともらわない人がいるのか???
もろもろ不安と不信を抱きつつ、とにかく船には乗れたし、島にも行けました。続きは別便で。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:32Comments(0)アートと地域