2009年10月20日

文化ボランティア全国フォーラム2009in滋賀②

そして19日。この日は滋賀で行われている「連携」授業の現場を見せていただく貴重な機会を得ました。草津市立志津南小学校1年~6年の全学年で、芸術家や美術館と学校との連携授業を実施し、それを保護者や地域の方々、そして私たちフォーラムの参加者に公開するという、ちょっとありえないような機会でした。公開連携授業は、1年生は「おおきなかぶ のおはなしえざらをつくろう」(国語・図工)、4年生「ミュージカル『こわれた千の楽器』の公演をしよう」(国語・音楽)、6年生「とびこめ!伊藤若冲ワンダーランド」(社会・図工)などなど。滋賀医科大の学長先生による講演や「いま生きているわたしを感じよう」という5年生対象の授業、同じく5年生対象、パナソニック㈱の「冷蔵庫ってどんなふうにできるの?」なども交えて盛りだくさんのプログラムが全部公開。しかも、それぞれの授業の学習指導案が冊子になって見学者に配布されている! この指導案が出来上がるまでに、いったい何回の打合せが行われたのか、気が遠くなりそうです。私が普段、福岡で関わっている芸術家派遣事業は、学校にスムーズに入らせていただくため、できるだけ学校の先生方の負担を軽減するよう努めてきました。でも授業は本来、先生が行うもの。先生の教育者としての専門性をもっともっと生かした授業ができないものか、と活動を始めた当初から考えていました。滋賀の連携授業はまさに先生と芸術家の「連携」による授業。あるいは先生の授業に芸術家がうまく組み込まれている、というべきでしょうか。
私が特に注目していたのは、3年生の「『泣いた赤鬼』をびわ湖ホールで発表しよう!」(音楽・道徳)。実は、18日にホールで上演された「泣いた赤鬼」は、3年生が道徳で学習し、音楽の授業でも歌を歌っていた作品でした。もちろん、子どもたちはホールでオペラ作品を鑑賞しており、その経験を踏まえてさらに歌の勉強をしてみよう、というのがこの時間の趣旨。プロの声楽家が指導に訪れたうえに、赤鬼役の役者さんが舞台での扮装そのままに音楽室に現れるというサプライズつき。子どもたちのテンションが上がること! 歌声も明らかに変わりました。なんとぜいたくな授業でしょ。

また、午前中の最後の時間には、嘉田由紀子滋賀県知事による4年生を対象とした授業「昔の人々のくらしから~水を大切にする知恵~」(社会)も行われ、知事にこの事業の重要性をアピールする仕込みもきっちりされていると感じました。滋賀の取り組みは昨年度から「しが文化芸術学習支援センター」が中心となって実施されていますが、当面、3年間のプロジェクトとして県からお金が出ていると聞いています。その先は「民間」としての自立を求められることになるのかもしれません。が、プログラムの実施は民間のノウハウを活かすことがふさわしくとも、それを支える財政面も含めた環境整備は行政の役割が大きいはず。ぜひ、長期の継続が可能なシステムにしていただきたいと強く願うばかりです。

さて、まだまだ続くフォーラムのメニュー。午後は嘉田知事と文化庁の文化部長さん、地元・MIHO MUSEUMの館長さんによるパネルディスカッション、そして全体討議。全体討議では、志津南小の馬場校長先生が、今回の公開連携授業実施の経緯などをお話くださいました。馬場校長とは前夜の情報交換会で少しお話したのですが、「教員がコーディネーターでなくてはならない。僕は今回、校長として、ではなくコーディネーターとして働いた」と言われていたのが大変印象的でした。学校の先生がコーディネーターとなり、外部のコーディネーターと「連携」するといい結果につながるのは、私も何度か経験したことがあります。こんな先生がたくさんおられれば、そして校長先生としてリーダーシップを発揮できる立場になってくだされば、と、思います。

よくまあ、こんなにてんこ盛りのフォーラムを企画運営したもんだ、と半ばあきれてしまいますが、それもこれも、津屋結唱子さんをはじめ、滋賀の方々のこの事業への思い入れの深さゆえなのでしょう。福岡には福岡の環境や事情があります。そのなかで、どんな手法が一番いいのか(まず第一に子どもたちにとって、です)しっかり考えなくては、と身が引き締まりました。
また、津屋さんのご長女・ゆりさんが中核スタッフとして現場を仕切っておられる様子が頼もしくうらやましくも思えた2日間でもありました。  


Posted by アートサポートふくおか at 22:28Comments(1)子どもの芸術体験

2009年10月20日

文化ボランティア全国フォーラム2009in滋賀①

さて、文化ボランティア全国フォーラム2009in滋賀。テーマは「次世代の文化力を育む~芸術と教育の連携 新たな挑戦!~」。とても盛りだくさんで、滋賀で実践されている芸術と教育の「連携」授業の今後を考え、進展させるための仕込みがさまざまに行われたフォーラムでした。

18日は昼前に事例報告会の関係者が集まって打ち合わせ。昼食をはさんで会場・機材の確認をしたあと、びわ湖ホールの中ホール(いいホールです)で子どもオペラ「泣いた赤鬼」の鑑賞。子どもオペラといっても、子どもが舞台に出るのでなく、びわ湖ホール専属の声楽アンサンブルメンバーの出演によるプロの舞台。ピアノとパーカッションの生演奏に乗せた作品で、学校に持って回れるカンパニーとして制作されていました。私は「泣いた赤鬼」にとても弱いので(昔、子どもたちに絵本を読んでやりながらグズグズ泣いて、子どもにひかれたこともありました)、うるうるしながら見ていましたが、本格的な声楽家によるステージに、子どもたちの反応も上々。鑑賞希望者が大変多く、急きょ2ステージに増やして対応したと聞きました。

終演後、いよいよフォーラムの開幕なので控室へ移動すると、「泣いた赤鬼」がすばらしかった、と滋賀の教育関係者の方々が絶賛されていました。そして「新しいびわ湖ホールの誕生を見た」とも。ホールとしてもさまざまな努力をしてこられたことと思いますが、本格的なオペラ等を上演する格調高いあり方に対し、敷居が高い印象もあったのでしょう。学校巡演も可能な子ども向けオペラ作品を制作したことで扉が1枚開いた、ということでしょうか。

そしてフォーラム。基調講演は、文科省の教科調査官(すごく長い肩書だったのですが、省略してすみません)の奥村高明さん。学校の先生でNPO活動も経験していて創作活動もして、で、子どものことをすごく考えている方でした。芸術と教育の連携、というときに、子どもが中心でなければいけないこと、子どもが芸術の道具になっても、まちづくりの道具になってもだめで、その子が伸びていくことにどう寄り添えるのかを真っ先に考えて取り組まなくてはいけないことをあらためて確認させられました。
講演のあとは、私も登壇しての事例報告会。私以外の報告者は横浜市の文化振興課主任調査官・鬼木和浩さん、NPO法人芸術家と子どもたちの堤康彦さん、そして、しが文化芸術学習支援センターの津屋結唱子さん。官民協働による仕組みを構築している横浜市と滋賀県、学校への芸術家派遣の草分け的存在の芸術家と子どもたちの報告に混じって、私は何をしゃべればいいんでしょう・・・とかなり悩んだのですが、参加者にとっては、こうした取り組みをどのように進めればいいのか、そのヒントがほしいのではないかと考え、零細NPOの取り組みから行政との協働で仕組みづくりへと進んでいった経緯や、現在関わっている芸術家派遣事業の制度についてお話しました。また、こうした取り組みをしていることから、ときどき行政から相談を受けることがあるのですが、その際に気になっていることを2,3お話しました。事例報告会は全体で140分。長いようですが、各報告が20分で、2人のコメンテーター(公立文化施設活性化事業アドバイザー・柴田英杞さん、琵琶湖博物館特別研究員・布谷知夫さん)の質問等が入るので、時間はぎりぎり。報告の時間20分を厳守するよう、お手伝いの学生さんが「残り3分」「2分」「1分」「おわり」と札を掲げられるのを見ながらの発表でした。「おわり」のあともしゃべり続けると「おわれ」が出るのでは? と冗談を言いながら登壇しましたが、私の番だけは時間ぴったり。中味はともかく時間だけは守ったわ、ふっ。 と満足?のいく報告でした。各報告者から重複して指摘された課題は、コーディネーターの重要性とプログラム内容の評価の問題だったように思います。各地でそれぞれに行われている活動ではありますが、共通する課題がくっきり見えたことで、ネットワークの必要性を感じた事例報告会でした。

その後の情報交換会では全国各地から集まった方々から声をかけていただきました。ごあいさつしないといけない方やお話したい方全員とは言葉を交わすことができなくて失礼しました・・・。
  


Posted by アートサポートふくおか at 21:57Comments(0)子どもの芸術体験

2009年10月20日

びわ湖ホール

18日、19日と滋賀へ。「文化ボランティア全国フォーラム2009in滋賀」で事例報告をしてきました。レポートしたいのですが、今日はたまった家事を片付け、メール送受信の不調に対応したら、すでに深夜。詳しいレポートは明日に譲ります。

滋賀では、18日びわ湖ホールで基調講演&事例報告、19日は草津市立志津南小学校でアーティスト&美術館と学校との公開連携授業を見せていただきました。びわ湖ホールの中に入ったのはたぶん初めて。フォーラム関係者の打合せで使用させていただいた研修室はガラス張り。階下のオープンカフェに「お嫁さんがいる!」という声に下を覗くと、ウエディングレセプションが始まるところだったのか、ドレス姿の花嫁が見えました。まーきれい。が、同時に視界に入る、こっちを見ている人影が。手なんか振ってる。誰?・・・あ、福岡のKるべさん。Kるべさん、結婚式ですか? あぁ、フォーラムにご参加ですか。
ほかにも北九州、鹿児島と、九州方面から多数ご参加の模様。「文化ボランティア」「芸術と教育の連携」の2つのキーワードが人を呼び寄せたようで、盛況でした。詳しくは、また。  


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