2011年02月18日

臨床とアート

昨日今日と、温かだけれど雪が残る東京へ。公立文化施設協会のアートマネジメントセミナーに参加しました。講演1つと3つのプログラムに参加、なかでも興味深かったのは劇場法(仮)関連の最新の動向が把握できたセッション。まだ案がオモテに出ておらず、関係団体へのヒアリングを行ったところ、だそうですが、どうしても創り手側の方たちの力こぶが大きいので、公立文化施設や設置主体の自治体側からのアクションのなさが目立ってしまいます。もっと言えば舞台芸術を享受する「市民」の側にとってどうか、という部分。これは代弁する団体等がないから難しいでしょうが、バランスのとれた内容であってほしいと願っています。
昨夜はセミナーの交流会はパスして(財)たんぽぽの家主催の「臨床とアート」のセミナーに参加するためエイブルアートジャパンのスタジオへ。「医療・福祉におけるアーティストの役割」という興味深いテーマで、高齢者施設でアートワークショップを続けておられる藤原ゆみこさんのお話をうかがいました。とても心を揺さぶられる内容でしたが、なかでもこの活動の「成果」について「動けなかった人が立ちあがったり、何もできないと思われていた人が絵を描いたりすることもあるが、それよりも、介護者や家族などのその方に対する認識や接し方が変わることが大きい」とおっしゃったこと胸に残りました。つまりセラピーではない、ということですよね。また、「アーティストの役割」について、幼稚園での卒園記念制作に関われた経験を話されました。病気で制作に加われなかった園児のお母さんから希望があり、危篤状態のICUで子どもの手形をとり作品に加えることができたとのこと。手形をとるだけなら幼稚園の先生でもできそうですが、このケースでは藤原さんが行くことでそれが可能になったようです。「そのくらいのことで、その子の生きた証を残すお手伝いができるなら、私は何度でも行きたい」とおっしゃった藤原さん。その人間力が魅力のアーティストさんだと感じました。
いつか福岡も、高齢者のアートワークショップが病院や施設でふつーに行われている状況にしたいものです。



Posted by アートサポートふくおか at 00:04│Comments(0)
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