2009年09月01日

大地の芸術祭 新潟は秋でした

はい、続きまして「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」です。30日(日)の夕方、あうるすぽっとでのセミナーが終了したあと、新潟入り。8月31日の1日だけ、バスツアーでごく一部の作品を見て回りました。ものすごく広大な地域に約370点の作品が点在する、スケールの大きな芸術祭。何日も滞在しないと全体を見るのはムリです。
ほんの一部ではありましたが、今回のトリエンナーレのテーマである「廃校プロジェクト」と前回のテーマだった「空き家プロジェクト」の作品を中心に数はけっこう見てきました。とはいえ、私の関心は運営手法や地域との関係性。ガイドしてくださったボランティアさんにひっつきもっつきしていろいろ聞きだしたことを、その日のうちに書きとめたものから下記に転載します。

8月の終わりの1日、すでに新潟は秋の空気。行くところはすべて山と田圃ですが、稲は黄色く色づき穂がしなっています。もう2週間もしたら稲刈りの季節。小雨にそぼ濡れることもありましたが、ガイドさんによれば「真夏のカンカン照りでこの距離を歩くのは大変。今日はツアー日和ですよ」ですと。
1日しか回れないのでバスツアーに参加。乗車場所はホテルのすぐそば。9時15分集合で同じ場所に戻るのは19時ごろの予定。同じバスに乗ったのは23人。でも同じルートを回る2号車もいるから、平日なのに結構な人数が参加していることになります。しかも、私が参加したのは北回り。ほかに南回りもあります。ガイドはボランティアの方。日頃は横浜で仕事をされている女性。こへび隊メンバーです。こへび隊は学生が多いそうですが、社会人やリタイヤ組もけっこういて、700人から800人(3年前の実績)くらいいるそうです。東京方面から参加する方が多いようで、金曜日の夜8時、代官山発のこへびバスに乗って深夜に現地入り、土日に活動して日曜深夜に戻る、とか。ボランティアは温泉に100円で入れるし食事は300円、パスポート(作品を見るのに必要です)がもらえるなどの特典はあるものの、報酬はなし。しかも1人でバスに乗って丸1日のツアー全体を仕切る、かなり大変な仕事です。ガイドのほかに作品の管理、修理、ボランティアのまかないをするボランティアさんもいるそうです。今回のトリエンナーレは9月13日で終了ですが、すぐに秋の催しがあるし、常設されている作品のために雪に備える雪囲い、冬は雪かき、春のイベントと年間を通じてさまざまな活動があると聞きました。
今回ご一緒してくださったOさんは、横浜トリエンナーレではボランティアはされていないとか。この土地の魅力に引きつけられているのでしょうね。
バスの臨席に座った女性は地元の方なので、時間を見つけてあちこち見に行かれたそうですが、今日のツアーで行ける場所はとても山奥で1人では行けないのでツアー参加にしたのだとか。ボランティアのOさんも、「今日行くところは越後交通の運転手さんじゃないと行けない」と言っていました。
見ることができた作品は、ものすごい数。このツアーは今回のトリエンナーレの柱である「廃校プロジェクト」を中心に、前回のテーマ「空家プロジェクト」の作品にも寄ったし、場所の数では10か所に満たないくらいですが、作品数は無数。それでも、トリエンナーレ全体では作品数は370くらいだそうで、見て回ったエリアからいっても1日ではほんの一部しか回れません。
この芸術祭は2000年開始。今回が4回目です。最初は、現代アートなどわからないし、よそものが入って来る殊に警戒気味だった地元の方々が、作品を見にたくさんの人が訪れることを知って認識が変わってきたそうです。また、総合ディレクターの北川フラムさんが足繁く地元に通って対話を続けたこと、東京からきた若い学生ボランティアが一生懸命になれない作業に取り組む様子を見て、地元の方が手を貸すようになるなど変化が出てきた、と聞きました。実際、下条(げじょう)地区(ここは当初から好意的な反応だったそうです)は独自にバナーをつくって民家の軒先にも下げていたし、麦茶とおつけもので私たちをもてなしてくださるところもありました。普段は考えられないような多くの車が押し掛けることもあるので交通整理をしてくださったり。また、この芸術祭が経済的なメリットをもたらしていることも確かで、とっても安い値段で野菜や手作りの品を販売するテントが出ていたり、本日の昼食場所「うぶすなの家」でもてなしてくださった地元の女性のお話では「ここは私たちがつくった野菜を買ってくれるし、バイトする場所でもある」。経済の仕組みも組み込まれていることが継続できる秘訣なんでしょうね。
2000年には行政が管理する公共施設を中心に作品設置をしたのが、2003年は地域ごとの拠点施設4カ所ができ、2006年は空家プロジェクト、今回は廃校プロジェクトと、地元の理解がないとできない内容に進化しているようです。トリエンナーレは芸術の祭典であると同時に、地域振興イベントである、ということはガイドのOさんも話されていました。隣の作品まで歩いてはいけない状況を作り出すことで、「旅」をすることになる、そこから広がるさまざまなことを組み込んだイベントなわけです。

あ、作品のことを全然書いてなくてすみません。たくさん見たなかで印象に残った1点についてだけ書きます。「胞衣(えな)みしゃぐち」。地面を2メートルくらい掘って、再度、土を積み上げ、子宮のような空間をイメージしてつくられた洞窟のような作品。なんでまた、こんな大変なことを・・・。アーティストに「なんで?」と聞いても、「そのときはそうしなくちゃいけなかったんです」とか言われるのでしょう、きっと。3年前のトリエンナーレで制作されたと聞きました。時間の経過によってコケなどの植物が自然に発生していて雰囲気のある空間になっています。中心部に植えられた樹は生命の象徴なのでしょうか。いかにも人工的に植えた感じでヒョロヒョロと伸びていましたが、周辺の壁や地面に生えた地衣類のリアルさと対照的でした。


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Posted by アートサポートふくおか at 23:16│Comments(0)アートと地域
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