2008年11月20日

本気の大人

久留米市の小学校で演劇の授業。久留米市芸術家派遣事業で柏木陽さんに来ていただく授業の3回目&最終回。滅多にない経験をさせていただきました。
午前中は2時限ずつ、1組&2組が発表に向けての作品づくり。5時限目には保護者の方も来校されて作品を発表する、という段取りでした。おりこう系1組に対し、個性派2組といったオモムキの3年生が対象。「3年生になって一番印象に残っていること」をテーマに5人程度のグループごとに作品ができていました。ところがイザ発表の場になると、ばっちりできていたはずの1組さん、緊張したのか声や動きが小さい。そこへもってきて2組の「なんかわからん」という容赦ないヤジが飛び、ますます萎縮する子どもたち。確かになんだかよくわからない、でも懸命の発表がなんとか終わり、2組の発表になりました。1組の演技にアレコレ言っていたわりには2組もさらにグダグダな感じ。自信がないのをふざけてごまかす様子が目に付き始めると、柏木さんが出てきて発表の中止を宣言されました。そして保護者の方に陳謝してお帰りいただくことに。
本番を止めてお客さんを帰してしまうというのは、演劇関係者にとってありえないことでしょう。ベストを尽くして活動してきても、子どもはナマモノ&マモノです。こんな展開になるとは。「すべての責任は僕にあります」と保護者の前でおっしゃった柏木さん。こんなことができるアーティストは、そうはいないでしょう。グダグダでもとにかく最後までやってしまって「うまくはないけど、子どもたちがんばりましたね」と美しくまとめることもできたのに。今日の柏木さんの姿に、ファシリテーターの仕事の重さを感じさせられました。私は久し振りにグチャグチャになって泣きました。そしてもちろんコーディネーターの私も責めを一緒に負うことになります。
ある保護者の方が「本気の大人に出会える体験をさせてもらえてよかった」と声を詰まらせながらおっしゃってくださいました。皆さんがそう感じてくださったのならうれしいことです。  


Posted by アートサポートふくおか at 00:15Comments(1)子どもの芸術体験